経皮経肝胆囊ドレナージ経路での胆囊鏡検査により診断しえた急性胆囊炎を伴う胆囊癌の1例
症例は67歳の男性で,2018年8月に腹部CTにおいて胆囊壁肥厚とリンパ節腫脹,同部位へのFDG-PETの異常集積像,血液検査での腫瘍マーカーの上昇の所見より胆囊癌が疑われた.同年9月に腹痛が出現し,急性胆囊炎の診断で入院,胃全摘術後であり内視鏡的胆囊ドレナージは困難と判断し,経皮経肝胆囊ドレナージを施行した.その後,穿刺経路での胆囊生検や胆汁細胞診を繰り返したが,悪性病理所見は得られなかった.確定診断目的に経皮経肝胆囊鏡下での生検を施行し,腺癌の診断を得た.門脈右枝塞栓術施行後に,右肝切除・肝外胆管切除術を施行した.病理結果は乳頭腺癌であった.術後29か月の現在,無再発で生存中である.消化管...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 3; pp. 182 - 190 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.03.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2021.0054 |
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Summary: | 症例は67歳の男性で,2018年8月に腹部CTにおいて胆囊壁肥厚とリンパ節腫脹,同部位へのFDG-PETの異常集積像,血液検査での腫瘍マーカーの上昇の所見より胆囊癌が疑われた.同年9月に腹痛が出現し,急性胆囊炎の診断で入院,胃全摘術後であり内視鏡的胆囊ドレナージは困難と判断し,経皮経肝胆囊ドレナージを施行した.その後,穿刺経路での胆囊生検や胆汁細胞診を繰り返したが,悪性病理所見は得られなかった.確定診断目的に経皮経肝胆囊鏡下での生検を施行し,腺癌の診断を得た.門脈右枝塞栓術施行後に,右肝切除・肝外胆管切除術を施行した.病理結果は乳頭腺癌であった.術後29か月の現在,無再発で生存中である.消化管再建後の再手術症例が増加している昨今においては,経皮経肝経路での診断・治療手技が必要とされうるが,同時に再発の可能性を念頭に置いた慎重な経過観察が必要とされる. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2021.0054 |