術後出血を認めた先天性第VII因子欠乏症を伴った進行胃癌の1例
患者は72歳の男性で,Hb 6.5と高度の貧血を認め精査となった.内視鏡検査にて胃体部小彎に巨大な潰瘍性病変を認め,生検にて低分化型腺癌と診断された.来院時のPT-INRは6.09と著明に延長し,第VII因子活性が1.7%と高度低下を示しており,第VII因子欠乏症と診断した.加刀直前に第VII因子製剤を投与し胃全摘,胆摘,脾摘を施行した.術後に第VII因子製剤を追加投与したが術翌日の投与は行わなかったところ,第2病日にドレーンから血性排液を認めた.PT-INRが5.26と延長しており,2日間第VII因子製剤を投与し出血は軽快した.第3病日からFFPを3日間4単位ずつ投与し,以後経過良好で退院し...
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          | Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 291 - 297 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本消化器外科学会
    
        01.06.2019
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0386-9768 1348-9372  | 
| DOI | 10.5833/jjgs.2018.0086 | 
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| Summary: | 患者は72歳の男性で,Hb 6.5と高度の貧血を認め精査となった.内視鏡検査にて胃体部小彎に巨大な潰瘍性病変を認め,生検にて低分化型腺癌と診断された.来院時のPT-INRは6.09と著明に延長し,第VII因子活性が1.7%と高度低下を示しており,第VII因子欠乏症と診断した.加刀直前に第VII因子製剤を投与し胃全摘,胆摘,脾摘を施行した.術後に第VII因子製剤を追加投与したが術翌日の投与は行わなかったところ,第2病日にドレーンから血性排液を認めた.PT-INRが5.26と延長しており,2日間第VII因子製剤を投与し出血は軽快した.第3病日からFFPを3日間4単位ずつ投与し,以後経過良好で退院した.第VII因子欠乏症,特に第VII因子活性の高度低下を認める症例では術後出血も念頭においた第VII因子製剤の投与が必要である. | 
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372  | 
| DOI: | 10.5833/jjgs.2018.0086 |