有鈎義歯誤飲による食道穿孔に対し胸腔鏡下手術を施行し救命しえた1例

症例は74歳の男性で,自宅で転倒し下顎を打撲した.その後胸のつかえ感や食欲低下を訴えていた.転倒から2週間後,自宅で倒れているところを発見され救急搬送された.胸部X線検査,CTにて義歯誤飲による食道損傷を疑い,上部消化管内視鏡検査を施行すると胸部下部食道に義歯と食道全層に及ぶ損傷を認めた.義歯は可動性不良で内視鏡による除去は困難であった.受傷から長期間経過し,縦隔炎を併発しており,穿孔部の縫合閉鎖は困難と判断し胸腔鏡下に食道切除する方針とした.手術は腹臥位で行った.胸部下部食道周囲は高度の炎症を伴い膿瘍化していた.同部位の食道壁から義歯の一部が露出していた.義歯は鉗子で牽引して胸腔内に誘導し,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 4; pp. 198 - 204
Main Authors 原田, 敬介, 西舘, 敏彦, 信岡, 隆幸, 沖田, 憲司, 伊東, 竜哉, 内山, 素伸, 山口, 洋志, 吉田, 瑛司, 竹政, 伊知朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0193

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Summary:症例は74歳の男性で,自宅で転倒し下顎を打撲した.その後胸のつかえ感や食欲低下を訴えていた.転倒から2週間後,自宅で倒れているところを発見され救急搬送された.胸部X線検査,CTにて義歯誤飲による食道損傷を疑い,上部消化管内視鏡検査を施行すると胸部下部食道に義歯と食道全層に及ぶ損傷を認めた.義歯は可動性不良で内視鏡による除去は困難であった.受傷から長期間経過し,縦隔炎を併発しており,穿孔部の縫合閉鎖は困難と判断し胸腔鏡下に食道切除する方針とした.手術は腹臥位で行った.胸部下部食道周囲は高度の炎症を伴い膿瘍化していた.同部位の食道壁から義歯の一部が露出していた.義歯は鉗子で牽引して胸腔内に誘導し,バッグに回収した.腹腔鏡操作後に臍部から体外に摘出した.損傷した食道は切除し,頸部食道瘻,胃瘻,空腸瘻を造設し手術を終了した.術後は合併症なく経過し,術後第21病日に療養目的に転院となった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0193