大網に異時性に発生した偽性筋原性血管内皮腫と類上皮血管内皮腫の1例

症例は78歳の男性で,2016年に胃癌に対してESD施行後,追加切除目的に外科受診となった.噴門側胃切除術を施行したが,術中,胃体中部の大網に5~20 mm程度の腫瘤の集簇を認めたため,同部位の大網も合併切除した.病理組織学的検査で大網の腫瘤は類上皮血管内皮腫と診断された.2013年に腹腔内腫瘤摘出術の既往があり,今回の腫瘤との関連性を検討した.画像所見,手術所見からその腫瘤は長径約10 cmで辺縁は境界明瞭で,肝左葉,胃,横行結腸と接するが明らかな連続性は認めず,大網に発生した腫瘤であることが示唆された.病理組織学的検査で新たに免疫組織化学染色を行い,偽性筋原性血管内皮腫と確定診断し,今回の...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 52; no. 4; pp. 212 - 219
Main Authors 伊藤, 敬, 田中, 正樹, 竹長, 真紀, 森本, 大樹, 西上, 隆之, 酒井, 哲也, 井上, 達也, 福岡, 正人, 辰巳, 嘉章, 橘, 史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2019
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2018.0070

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Summary:症例は78歳の男性で,2016年に胃癌に対してESD施行後,追加切除目的に外科受診となった.噴門側胃切除術を施行したが,術中,胃体中部の大網に5~20 mm程度の腫瘤の集簇を認めたため,同部位の大網も合併切除した.病理組織学的検査で大網の腫瘤は類上皮血管内皮腫と診断された.2013年に腹腔内腫瘤摘出術の既往があり,今回の腫瘤との関連性を検討した.画像所見,手術所見からその腫瘤は長径約10 cmで辺縁は境界明瞭で,肝左葉,胃,横行結腸と接するが明らかな連続性は認めず,大網に発生した腫瘤であることが示唆された.病理組織学的検査で新たに免疫組織化学染色を行い,偽性筋原性血管内皮腫と確定診断し,今回の大網の腫瘤と異なる組織型であることが判明した.今回,我々は異なる時期に大網に発生し,それぞれ偽性筋原性血管内皮腫,類上皮血管内皮腫と診断された極めてまれな症例を経験した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2018.0070