組織誘導再生法 (GTR) : 吸収性膜を使った歯周組織再生

組織再生誘導法(Guided Tissue Regeneration Technique:GTR法)の生物学的原理は1976年にMelcher 1)らにより提唱され, 歯根膜から誘導された細胞からしかセメント質や歯根膜, 歯槽骨は再生されないという仮説に基づいている. 歯周外科後の創傷治癒に関与する組織は上皮組織, 歯肉結合組織, 歯槽骨組織, 歯根膜である. 中でも上皮の治癒スピードが最も速く, そのため, 通常の治癒様式はLong junctional epithelium(長い接合上皮)といわれ, 新付着形成はほとんど生じないと考えられている. 1982年Nyman 2)らは初めて物理的...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 269 - 273
Main Authors 宮澤, 康, 長谷川, 紘司, 長谷川, 郁夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 2002
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ISSN0285-922X
2186-5396
DOI10.11516/dentalmedres1981.22.269

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Summary:組織再生誘導法(Guided Tissue Regeneration Technique:GTR法)の生物学的原理は1976年にMelcher 1)らにより提唱され, 歯根膜から誘導された細胞からしかセメント質や歯根膜, 歯槽骨は再生されないという仮説に基づいている. 歯周外科後の創傷治癒に関与する組織は上皮組織, 歯肉結合組織, 歯槽骨組織, 歯根膜である. 中でも上皮の治癒スピードが最も速く, そのため, 通常の治癒様式はLong junctional epithelium(長い接合上皮)といわれ, 新付着形成はほとんど生じないと考えられている. 1982年Nyman 2)らは初めて物理的バリアー膜を設置して歯根膜由来の細胞を誘導し, 新生セメント質が露出歯根面に形成されることを証明した. その後多くの動物実験や臨床研究により, 組織再生誘導法の有効性が報告されてきた. 当初バリアー膜としてミリポアフィルターが用いられたが, 現在では膜の根面への適合性や操作性等の観点から, テフロン膜(e-PTFE膜:GoreTex R)が主流になってきている. しかしながら, 非吸収性膜の問題点が多くの研究で指摘されるようになり34), 近年吸収性膜の開発研究がなされるようになった.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.22.269