広範な出血性壊死によると考えられた胸痛を認めた胸腺腫の1例

46歳男性.検診で胸部異常影を指摘され当院紹介された.胸部CTとMRIで前縦隔に82×35×80 mm大の辺縁不整な腫瘍を認め,腫瘍摘出の方針となった.手術待機中に,発熱,胸痛と息切れがあり,14日後に当科を受診した.胸部単純X線写真と胸部CTで左胸水を少量認めた.腫瘍は初診時と比較して軽度に腫大していた.MRIおよび血液検査所見などから,手術待機中に腫瘍内出血をきたした胸腺腫を疑って手術を施行した.胸腔鏡下に腫瘍生検を行い,迅速診断にて胸腺腫であることを確認した.さらに胸膜炎の所見とともに少量の胸水を認めた.胸骨正中切開にて,胸腺胸腺腫摘出術,心膜合併切除を行った.病理ではTypeB2の胸腺...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 6; pp. 629 - 632
Main Authors 大久保, 憲一, 石橋, 洋則, 明石, 巧, 高崎, 千尋, 藤原, 直之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2012
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.26.629

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Summary:46歳男性.検診で胸部異常影を指摘され当院紹介された.胸部CTとMRIで前縦隔に82×35×80 mm大の辺縁不整な腫瘍を認め,腫瘍摘出の方針となった.手術待機中に,発熱,胸痛と息切れがあり,14日後に当科を受診した.胸部単純X線写真と胸部CTで左胸水を少量認めた.腫瘍は初診時と比較して軽度に腫大していた.MRIおよび血液検査所見などから,手術待機中に腫瘍内出血をきたした胸腺腫を疑って手術を施行した.胸腔鏡下に腫瘍生検を行い,迅速診断にて胸腺腫であることを確認した.さらに胸膜炎の所見とともに少量の胸水を認めた.胸骨正中切開にて,胸腺胸腺腫摘出術,心膜合併切除を行った.病理ではTypeB2の胸腺腫で,腫瘍内に広範な出血壊死を伴っていた.胸痛などの自覚症状や胸水貯留を伴う胸腺腫は稀であり,文献的考察を踏まえて報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.26.629