徳島県南部におけるA型肝炎流行例の臨床的検討

昭和54年11月から55年4月にかけて徳島県南部においてHA抗体の検索により確診しえたA型肝炎の流行を見た.観察しえたのは49例で,うち20~50歳台の成人が大部分を占め,また女性に比し男性が約3倍の発症頻度を示した.家族内発症は6家系でみられた.感染経路の詳細を明らかにし得なかったが水系感染は否定された. 高熱,嘔吐,頭痛は顕著かつ高頻度に認められ,また絶対的リンパ球増加が6例,5%以上の異型リンパ球の出現が10例に認められた.IgM値は1例を除き高値を示し,IgG, IgAの著増例もまれに存在した. GOT, GPTの正常化に要した平均日数はそれぞれ55.4日,64日であり,100日以上を...

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Published in肝臓 Vol. 23; no. 7; pp. 722 - 730
Main Authors 小松, まち子, 藤原, 玲子, 増田, 和彦, 藤本, 浩史, 原田, 武彦, 加藤, 和市, 伊藤, 憲一, 真弓, 忠, 西内, 健, 林, 正, 片山, 京子, 井上, 秀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1982
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.23.722

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Summary:昭和54年11月から55年4月にかけて徳島県南部においてHA抗体の検索により確診しえたA型肝炎の流行を見た.観察しえたのは49例で,うち20~50歳台の成人が大部分を占め,また女性に比し男性が約3倍の発症頻度を示した.家族内発症は6家系でみられた.感染経路の詳細を明らかにし得なかったが水系感染は否定された. 高熱,嘔吐,頭痛は顕著かつ高頻度に認められ,また絶対的リンパ球増加が6例,5%以上の異型リンパ球の出現が10例に認められた.IgM値は1例を除き高値を示し,IgG, IgAの著増例もまれに存在した. GOT, GPTの正常化に要した平均日数はそれぞれ55.4日,64日であり,100日以上を要したものは6例であった.その中でアルコール常飲者が3例あり,うち2例が糖尿病を合併しともに初期に胆汁うっ滞型を呈し,1例は胆汁うっ滞の軽減後GOT, GPTの上昇を認め,他は7ヵ月の経過で死亡した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.23.722