季節的変動を伴う高カルシウム血症を示したサルコイドーシスの1例
本邦では,サルコイドーシスに高カルシウム血症を伴うことが少ないといわれているが,我々は,本症に季節的変動を示す高カルシウム血症を伴つた1例を経験したので報告する.症例は64才,男性.昭和44年,高血圧,腎障害(S-Cr 4.5mg/dl),原因不明の発熱,血沈亢進があつた.血清Ca 11.0mg/dl,アルブミン4.0g/dlで,胸部X線像上,明らかな異常はなく,確定診断には至らなかつた.翌45年,完全房室ブロックに対し,体内ペースメーカーで治療を行なつた.昭和53年より,夏期(6月~9月)にCaの高値(11.2~15.2mg/dl)があり,秋より春には正常値に復していた.又,夏期の高Ca血症...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 72; no. 7; pp. 925 - 931 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
1983
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ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.72.925 |
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Summary: | 本邦では,サルコイドーシスに高カルシウム血症を伴うことが少ないといわれているが,我々は,本症に季節的変動を示す高カルシウム血症を伴つた1例を経験したので報告する.症例は64才,男性.昭和44年,高血圧,腎障害(S-Cr 4.5mg/dl),原因不明の発熱,血沈亢進があつた.血清Ca 11.0mg/dl,アルブミン4.0g/dlで,胸部X線像上,明らかな異常はなく,確定診断には至らなかつた.翌45年,完全房室ブロックに対し,体内ペースメーカーで治療を行なつた.昭和53年より,夏期(6月~9月)にCaの高値(11.2~15.2mg/dl)があり,秋より春には正常値に復していた.又,夏期の高Ca血症に一致して, S-Cr値が毎年階段状に上昇し,腎機能低下が高Ca血症に由来することが示唆された.昭和55年7月,精査のため入院.小唾液腺・前斜角筋リンパ節,肝の生検では陰性だつたが,筋生検で乾酪化を伴わない類上皮肉芽腫を認め,眼底の陳旧性炎症病変および他所見と合わせ,サルコイドーシスと診断した.なお,アンジオテンシン変換酵素は43, Kveim test陰性,副甲状腺ホルモンは低値であつた.又, 1, 25 (OH)2VD3は95ng/mlと高値で,欧米での報告と同様,これが血清Ca増加の原因と考えられた.ゲルクロマトグラフィー(Sephacryl 300)による,血清Caの分析では,透析性Caの増加が主体であつた. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.72.925 |