経皮的人工心肺補助下に摘出した巨大縦隔成熟奇形腫の1例

巨大縦隔腫瘍は時として全身麻酔の際に致命的な呼吸循環不全に陥ることがある.今回我々は巨大縦隔成熟奇形腫に対して経皮的人工心肺補助(以下PCPS)併用下に手術を行った症例を経験したので報告する.症例は20歳,女性.検診発見の巨大縦隔腫瘍にて当院紹介された.CTで10×9 cm大の前縦隔腫瘍を認めた.嚢胞成分が主体で多房化しており,石灰化や脂肪成分も混在していた.気管は分岐部付近で前後径5 mmと狭窄し,腹部にも巨大な嚢胞性病変があり,両側大腿静脈が圧排狭窄していた.全身麻酔時に気道閉塞をおこし,呼吸不全となることが予測された.両側大腿静脈が狭窄しており,緊急時のPCPS装着に手間取る可能性もあっ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 6; pp. 658 - 662
Main Authors 梶浦, 耕一郎, 鳥羽, 博明, 監崎, 孝一郎, 先山, 正二, 川上, 行奎, 近藤, 和也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2012
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.26.658

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Summary:巨大縦隔腫瘍は時として全身麻酔の際に致命的な呼吸循環不全に陥ることがある.今回我々は巨大縦隔成熟奇形腫に対して経皮的人工心肺補助(以下PCPS)併用下に手術を行った症例を経験したので報告する.症例は20歳,女性.検診発見の巨大縦隔腫瘍にて当院紹介された.CTで10×9 cm大の前縦隔腫瘍を認めた.嚢胞成分が主体で多房化しており,石灰化や脂肪成分も混在していた.気管は分岐部付近で前後径5 mmと狭窄し,腹部にも巨大な嚢胞性病変があり,両側大腿静脈が圧排狭窄していた.全身麻酔時に気道閉塞をおこし,呼吸不全となることが予測された.両側大腿静脈が狭窄しており,緊急時のPCPS装着に手間取る可能性もあったので,麻酔導入前からPCPSを回しつつ,全身麻酔を導入した.手術は最初に小開胸し,腫瘍の嚢胞部分を穿刺吸引してから胸骨正中切開にて腫瘍摘出した.病理組織学的所見では成熟奇形腫であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.26.658