思春期特発性側弯症非手術例の中年期以降における脊柱アライメントと柔軟性の変化

はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)の自然経過,特に中年期における変化は不明な点が多い.本研究の目的はAIS非手術例の側弯変形,柔軟性,および矢状面アライメントに関して中年期における変化を明らかにすることである.対象と方法:AIS非手術例のうち,骨成熟時の側弯Cobb角が30°以上で,30歳以降に1年以上の間隔をあけて2回以上のX線検査を行うことのできた27例(全例女性)を対象とした.立位全脊椎X線で冠状面・矢状面アライメントを,側屈ストレス撮影で側弯柔軟性を評価した.結果:成人期の初回調査時年齢は平均40.7歳,最終調査時は平均46.3歳で,観察期間は平均5.8年であった.側弯Cobb角は...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 15; no. 11; pp. 1321 - 1327
Main Authors 長谷川, 和宏, 田仕, 英希, 佐藤, 雅之, 牧野, 達夫, 平野, 徹, 湊, 圭太郎, 渡辺, 慶, 大橋, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.11.2024
日本脊椎脊髄病学会
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2024-1112

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Summary:はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)の自然経過,特に中年期における変化は不明な点が多い.本研究の目的はAIS非手術例の側弯変形,柔軟性,および矢状面アライメントに関して中年期における変化を明らかにすることである.対象と方法:AIS非手術例のうち,骨成熟時の側弯Cobb角が30°以上で,30歳以降に1年以上の間隔をあけて2回以上のX線検査を行うことのできた27例(全例女性)を対象とした.立位全脊椎X線で冠状面・矢状面アライメントを,側屈ストレス撮影で側弯柔軟性を評価した.結果:成人期の初回調査時年齢は平均40.7歳,最終調査時は平均46.3歳で,観察期間は平均5.8年であった.側弯Cobb角は胸椎,胸腰椎/腰椎(TL/L)側弯ともに有意な変化はなかったが,TL/L側弯の柔軟性は有意に減少した.矢状面ではLLとSSは有意に減少し,SVA,PI-LL,およびPTは有意に増加した.結論:中年期における約6年の経過において,側弯進行は限定的である一方,TL/L側弯柔軟性の低下と矢状面で腰椎前弯減少と骨盤後傾を生じていた.中年期には側弯柔軟性や矢状面アライメントも含めた経過観察が必要である.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-1112