CT検査にて術前診断可能であった子宮広間膜ヘルニアの1例

症例は54歳,女性。帝王切開と虫垂炎手術の既往がある。以前より時々左下腹部痛を自覚していたが,内服薬にて症状は軽快していた。今回,突然の腹痛を認め当院救急外来受診した。腹部CT検査にて小腸イレウスと診断され,イレウス管を挿入されるも症状軽快せず,4日目に当科へ紹介された。その際施行した腹部造影CT検査にて,子宮の腹側への偏位と,左子宮広間膜部を前方から後方へ陥入する小腸ループを認め,左子宮広間膜ヘルニアと診断され,緊急手術となった。開腹すると,左子宮広間膜に径2cm大の裂孔があり,回腸末端から約60cm口側の回腸が腹側から背側に向かって陥入し絞扼されていた。嵌頓小腸は鬱血していたが腸管壊死は認...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 7; pp. 1067 - 1070
Main Authors 種村, 廣巳, 波頭, 経明, 田中, 香織, 伊藤, 元博, 大下, 裕夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.1067

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Summary:症例は54歳,女性。帝王切開と虫垂炎手術の既往がある。以前より時々左下腹部痛を自覚していたが,内服薬にて症状は軽快していた。今回,突然の腹痛を認め当院救急外来受診した。腹部CT検査にて小腸イレウスと診断され,イレウス管を挿入されるも症状軽快せず,4日目に当科へ紹介された。その際施行した腹部造影CT検査にて,子宮の腹側への偏位と,左子宮広間膜部を前方から後方へ陥入する小腸ループを認め,左子宮広間膜ヘルニアと診断され,緊急手術となった。開腹すると,左子宮広間膜に径2cm大の裂孔があり,回腸末端から約60cm口側の回腸が腹側から背側に向かって陥入し絞扼されていた。嵌頓小腸は鬱血していたが腸管壊死は認めず,嵌頓小腸を還納し,裂孔を縫合閉鎖して手術を終了した。術後経過は良好で第9病日に退院した。術前に本症の診断が得られた症例の報告はまれであり,CT所見の特徴も含めて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.1067