大学病院における院内救急体制と救急専従医の役割の検証

目的:近年,諸外国では院内救急に対してMedical Emergency Teamを組織することにより心肺停止数を減少させるなどといった成果を上げてきた。当院では2001年より院内発生心肺停止例や緊急重症症例を対象に救急応援チームを要請できる専用回線を設置し,システムとして運用してきた。応援チームは救急医がリーダを務め,現場で救急集中治療を指揮した。今回,我々はその活動状況と心肺停止例の成績から,応援チームを評価すると共に,現場での実施手技を分析し応援医に必要なスキルを検証することにより院内救急システムと応援医の役割を検証した。方法:2001-2010年までの応援チームの活動状況と教育コースの...

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Published in日本救急医学会雑誌 Vol. 22; no. 4; pp. 165 - 173
Main Authors 河井, 知子, 行岡, 哲男, 太田, 祥一, 河井, 健太郎, 内田, 康太郎, 三島, 史朗, 織田, 順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本救急医学会 15.04.2011
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ISSN0915-924X
1883-3772
DOI10.3893/jjaam.22.165

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Summary:目的:近年,諸外国では院内救急に対してMedical Emergency Teamを組織することにより心肺停止数を減少させるなどといった成果を上げてきた。当院では2001年より院内発生心肺停止例や緊急重症症例を対象に救急応援チームを要請できる専用回線を設置し,システムとして運用してきた。応援チームは救急医がリーダを務め,現場で救急集中治療を指揮した。今回,我々はその活動状況と心肺停止例の成績から,応援チームを評価すると共に,現場での実施手技を分析し応援医に必要なスキルを検証することにより院内救急システムと応援医の役割を検証した。方法:2001-2010年までの応援チームの活動状況と教育コースの実施状況を集計・分析した。結果:年間約40件の要請があった。CPA,ショック等の重症例が約8割あり,CPR,気道確保,薬剤投与などが施され,輪状甲状靭帯切開術は6例,AEDは12例に実施されていた。輪状甲状靭帯切開術は院外から3次対応で搬送された患者より院内急変患者に有意に多く(p<0.05)実施されていた。昼夜,曜日に関係なく院内CPA例の生存退院率に差はなかった。教育コース受講者は3,000人を超えた。結論:院内救急対応システムは重症例に対して継続的に要請を受け,時間帯や曜日に関係なく一定水準の医療が提供されていた。輪状甲状靱帯切開術は院内発症の気道緊急に対し必要なスキルである。教育コースにより,院内での応援チームの周知やAEDの装着率の向上に寄与していると考えられた。今後も事後検証とフィードバックを継続的に行い,更なるシステム改善につなげる必要がある。
ISSN:0915-924X
1883-3772
DOI:10.3893/jjaam.22.165