女性の股関節X線撮影における生殖腺防護の有効性評価

【目的】X線撮影における生殖腺防護具(以下,GS)の配置は男性より女性で優位に不備が多いという報告がある.そこで,過去に検査されたX線,CT,MRI画像を用いてGSによる卵巣防護の実態を後方視的に分析し,女性の股関節X線撮影におけるGSの有効性を評価した.【方法】同一個人における過去3回分の骨盤部MRI画像から卵巣を,骨盤部CT画像から骨を抽出し,これら二つのデータを3Dワークステーションにて画像融合して卵巣の生理的な位置変動量を測定した.次に卵巣フュージョン画像をRaySum表示してX線画像と手動位置合わせを行い,GSによる卵巣遮蔽の割合を,(a)完全防護,(b)一部防護,(c)防護不備,(...

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Published in日本放射線技術学会雑誌 Vol. 78; no. 11; pp. 1314 - 1322
Main Authors 中田, 学, 野副, 沙季, 寺崎, 圭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本放射線技術学会 2022
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ISSN0369-4305
1881-4883
DOI10.6009/jjrt.2022-1314

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Summary:【目的】X線撮影における生殖腺防護具(以下,GS)の配置は男性より女性で優位に不備が多いという報告がある.そこで,過去に検査されたX線,CT,MRI画像を用いてGSによる卵巣防護の実態を後方視的に分析し,女性の股関節X線撮影におけるGSの有効性を評価した.【方法】同一個人における過去3回分の骨盤部MRI画像から卵巣を,骨盤部CT画像から骨を抽出し,これら二つのデータを3Dワークステーションにて画像融合して卵巣の生理的な位置変動量を測定した.次に卵巣フュージョン画像をRaySum表示してX線画像と手動位置合わせを行い,GSによる卵巣遮蔽の割合を,(a)完全防護,(b)一部防護,(c)防護不備,(d)再撮影の4項目に分類した.【結果】卵巣の最大変動量の平均値と最大値は頭尾方向でそれぞれ1.1, 3.9 cm,左右方向で0.7, 2.0 cmであった.また,卵巣遮蔽割合は完全防護18.9%,一部防護58.5%,防護不備15.1%,再撮影7.5%となった.【結語】女性の股関節X線撮影の約80%でGSは卵巣全体を覆うことができず,生殖腺防護の有効性は低い.
ISSN:0369-4305
1881-4883
DOI:10.6009/jjrt.2022-1314