Mirizzi症候群様所見を契機に発見されたcystohepatic ductの1例

54歳女性.検診で肝機能異常を指摘され当科紹介となった.腹部超音波および腹部CT検査で胆嚢内結石と肝内胆管の拡張を認めた.Mirizzi症候群または上部胆管腫瘍が疑われ経皮経肝胆道鏡(PTCS)を施行したところ,左右肝管合流部直下に嵌頓した結石を認めた. PTCS下砕石後の胆管造影およびPTCSで,総肝管は本来の位置に存在せず,後区域胆管枝を除く肝内胆管が異常な胆管交通枝(cystohepatic duct)を介して胆嚢管に合流する胆道奇形の存在が明らかとなった.後区域胆管枝は,cystohepatic ductを介さずに単独で総胆管に合流していた.この所見より,本例は胆石がcystohepa...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 8; pp. 2110 - 2114
Main Authors 加藤, 大祐, 山内, 靖, 佐々木, 隆光, 星野, 誠一郎, 新屋, 智志, 山下, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.2110

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Summary:54歳女性.検診で肝機能異常を指摘され当科紹介となった.腹部超音波および腹部CT検査で胆嚢内結石と肝内胆管の拡張を認めた.Mirizzi症候群または上部胆管腫瘍が疑われ経皮経肝胆道鏡(PTCS)を施行したところ,左右肝管合流部直下に嵌頓した結石を認めた. PTCS下砕石後の胆管造影およびPTCSで,総肝管は本来の位置に存在せず,後区域胆管枝を除く肝内胆管が異常な胆管交通枝(cystohepatic duct)を介して胆嚢管に合流する胆道奇形の存在が明らかとなった.後区域胆管枝は,cystohepatic ductを介さずに単独で総胆管に合流していた.この所見より,本例は胆石がcystohepatic ductと胆嚢管の合流部に嵌頓したために,Mirizzi症候群様の所見を呈したものと考えられた.胆嚢摘出のみ施行し経過観察を行っているが,現在までに結石の再発や胆汁鬱帯所見は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.2110