傍椎体に発生した胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍―医療画像解析ソフトVINCENTⓇによる綿密な手術計画が奏効した1例
はじめに:SMARCA4欠損未分化腫瘍はSMARCA4遺伝子の欠損を特徴とする腫瘍であり,2015年に初めて報告された新しい疾患概念である.症例:58歳,男性.右胸部痛を訴えて近医を受診し,胸部CTで胸椎傍椎体腫瘍を指摘され当院紹介となった.針生検の結果,胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍が疑われた.腫瘍は第5胸椎右傍椎体に発生しており,右第5/6胸椎椎間孔から脊柱管内にまで及んでいた.術前に医療画像解析ソフトVINCENTⓇを用いて綿密な切除計画を立てた.呼吸器外科により胸腔鏡下に胸腔側から肋間動静脈の処理とともに腫瘍の剥離を行い,後方からTh4~5半椎弓切除と神経根を結紮切離,椎体側面の腫瘍...
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Published in | Journal of Spine Research Vol. 15; no. 7; pp. 1034 - 1040 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
20.07.2024
日本脊椎脊髄病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1884-7137 2435-1563 |
DOI | 10.34371/jspineres.2024-0709 |
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Summary: | はじめに:SMARCA4欠損未分化腫瘍はSMARCA4遺伝子の欠損を特徴とする腫瘍であり,2015年に初めて報告された新しい疾患概念である.症例:58歳,男性.右胸部痛を訴えて近医を受診し,胸部CTで胸椎傍椎体腫瘍を指摘され当院紹介となった.針生検の結果,胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍が疑われた.腫瘍は第5胸椎右傍椎体に発生しており,右第5/6胸椎椎間孔から脊柱管内にまで及んでいた.術前に医療画像解析ソフトVINCENTⓇを用いて綿密な切除計画を立てた.呼吸器外科により胸腔鏡下に胸腔側から肋間動静脈の処理とともに腫瘍の剥離を行い,後方からTh4~5半椎弓切除と神経根を結紮切離,椎体側面の腫瘍を骨上で焼灼切離し腫瘍・肋骨を含め一塊として摘出した.術後2年の現在,再発なく経過良好である.結語:傍椎体に発生した胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍を経験した.VINCENTⓇを用いて切除範囲を綿密に計画し,外科的切除を行ったことで良好な経過が得られた. |
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ISSN: | 1884-7137 2435-1563 |
DOI: | 10.34371/jspineres.2024-0709 |