LLIFとPPS固定術における抗血栓薬継続下手術の安全性の検討

はじめに:LLIFと経皮的椎弓根スクリュー(PPS)による後方固定を併用する手術においては脊柱管内の操作をすることなく神経除圧が得られることから,周術期に抗血栓薬を休薬することなく安全に手術を行える可能性がある.対象と方法:対象は当教室において,LLIFとPPS固定を施行した症例のうち,抗血栓薬継続下に手術を行った継続群17例と比較対照群として術前から一定期間休薬した後に手術を施行した休薬群16例を合わせた33例,手術時平均年齢は74.4(54~85)歳である.結果:術中出血量は継続群で多い傾向にあったが統計学的有意差はなく,術後出血量は継続群で有意に多かった(p=0.0241).Hb値,Ht...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 15; no. 8; pp. 1112 - 1119
Main Authors 足立, 崇, 谷口, 愼一郎, 川島, 康輝, 中, 信裕, 小野, 直登, 谷, 陽一, 齋藤, 貴徳, 石原, 昌幸, 安藤, 宗治, 朴, 正旭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.08.2024
日本脊椎脊髄病学会
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2024-0810

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Summary:はじめに:LLIFと経皮的椎弓根スクリュー(PPS)による後方固定を併用する手術においては脊柱管内の操作をすることなく神経除圧が得られることから,周術期に抗血栓薬を休薬することなく安全に手術を行える可能性がある.対象と方法:対象は当教室において,LLIFとPPS固定を施行した症例のうち,抗血栓薬継続下に手術を行った継続群17例と比較対照群として術前から一定期間休薬した後に手術を施行した休薬群16例を合わせた33例,手術時平均年齢は74.4(54~85)歳である.結果:術中出血量は継続群で多い傾向にあったが統計学的有意差はなく,術後出血量は継続群で有意に多かった(p=0.0241).Hb値,Ht値の低下率は術翌日,術後7日目ともに継続群で多い傾向にあったが統計学的有意差はなかった.輸血は継続群で3例(17.6%)に施行し,休薬群では認めなかった(p=0.0390).基礎疾患の発症を含めた周術期合併症は両群ともに認めなかった.結語:抗血栓薬継続による出血リスクよりも休薬による基礎疾患発症のリスクが高いと判断された場合,脊椎固定術に関しては間接的神経除圧を目的としたLLIF+PPSが有用である.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-0810