東大病院における劇症肝炎に対する生体肝移植

近年の血液浄化治療の進歩により急性型劇症肝炎への内科治療成績は向上した。しかしながら内科治療に抵抗性の劇症肝炎は肝移植でしか救命できず,これらに対する生体肝移植治療の有用性はすでに確立されている。特に亜急性型の劇症肝炎に対しては,内科的治療での救命率はいまだ20%前後であり,生体肝移植治療がこれらに対し果たす役割は大きい。今回われわれの施設での診断,治療の臨床の実際を報告する。そこからみえてくる問題点として,ドナー不足があげられる。現在本邦では生体ドナーによる,いわゆる生体肝移植がほとんどだが,短期間で決断をくだす必要のある生体ドナーの負担は決して小さいものではなく,脳死移植のシステム拡充が課...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 29; no. 4; pp. 629 - 632
Main Authors 國土, 典宏, 松井, 郁一, 菅原, 寧彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2009
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.29.629

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Summary:近年の血液浄化治療の進歩により急性型劇症肝炎への内科治療成績は向上した。しかしながら内科治療に抵抗性の劇症肝炎は肝移植でしか救命できず,これらに対する生体肝移植治療の有用性はすでに確立されている。特に亜急性型の劇症肝炎に対しては,内科的治療での救命率はいまだ20%前後であり,生体肝移植治療がこれらに対し果たす役割は大きい。今回われわれの施設での診断,治療の臨床の実際を報告する。そこからみえてくる問題点として,ドナー不足があげられる。現在本邦では生体ドナーによる,いわゆる生体肝移植がほとんどだが,短期間で決断をくだす必要のある生体ドナーの負担は決して小さいものではなく,脳死移植のシステム拡充が課題と考えられる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.29.629