気管支喘息発作を併発した特発性食道破裂の1例

症例は43歳女性。気管支喘息のため,ステロイド吸入とテオフィリン,ロイコトリエン拮抗薬内服中であった。1ヵ月前より悪心,嘔吐があり,朝起きた際に嘔吐し,その直後より背部痛,呼吸困難が出現したため近医に搬送され,特発性食道破裂の疑いで当院紹介となった。来院時には喘息発作のため,喘鳴が著明であった。CT検査では頸部から下縦隔に及ぶ縦隔気腫と左胸水を認めた。上部消化管造影では,下部食道左側壁より造影剤の漏出を認めたが,胸腔内へは広がらず,縦隔内限局型食道破裂と診断した。縦隔内貯留物が多く食道内腔へのドレナージが不良で,ステロイド使用による感染増悪も考慮し,手術治療を選択した。術式は左開胸縦隔胸腔洗浄...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 4; pp. 689 - 692
Main Authors 山本, 壮一郎, 幕内, 博康, 西, 隆之, 葉梨, 智子, 原, 正, 千野, 修, 島田, 英雄, 山近, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.689

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Summary:症例は43歳女性。気管支喘息のため,ステロイド吸入とテオフィリン,ロイコトリエン拮抗薬内服中であった。1ヵ月前より悪心,嘔吐があり,朝起きた際に嘔吐し,その直後より背部痛,呼吸困難が出現したため近医に搬送され,特発性食道破裂の疑いで当院紹介となった。来院時には喘息発作のため,喘鳴が著明であった。CT検査では頸部から下縦隔に及ぶ縦隔気腫と左胸水を認めた。上部消化管造影では,下部食道左側壁より造影剤の漏出を認めたが,胸腔内へは広がらず,縦隔内限局型食道破裂と診断した。縦隔内貯留物が多く食道内腔へのドレナージが不良で,ステロイド使用による感染増悪も考慮し,手術治療を選択した。術式は左開胸縦隔胸腔洗浄ドレナージ,穿孔部縫合閉鎖および胃底部縫着術を施行した。術後はステロイドにて喘息発作を抑えることができ,縫合不全も認めず,術後16日目に退院が可能であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.689