低用量アスピリン投与中に発症した小腸穿孔の1例

【症例】81歳女性。嘔吐と腹部全体の痛みのため救急外来を受診した。内服薬は降圧薬,脂質異常症治療薬のほか低用量アスピリン(以下,LDA)を4年間投薬されていた。腹部所見は膨隆・軟,腸蠕動音減弱,右側腹部を中心で腹部全体に圧痛を認めた。反跳痛はなく,叩打痛がみられた。血液検査で炎症反応を認め,腹部X線では拡張した小腸ガス像が,腹部単純CTでは上腹部中心にfree airを認め,部位は不明だが消化管穿孔と考え緊急手術を施行した。術中所見では回腸末端部から10cm口側の部分に単発の穿孔を認めその部位を切除した。病理組織学的所見は単純性小腸穿孔であった。【考察】小腸穿孔の症例報告は比較的少ないが,本例...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 5; pp. 819 - 822
Main Authors 張, 耀明, 水野, 克彦, 小野山, 裕彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.819

Cover

More Information
Summary:【症例】81歳女性。嘔吐と腹部全体の痛みのため救急外来を受診した。内服薬は降圧薬,脂質異常症治療薬のほか低用量アスピリン(以下,LDA)を4年間投薬されていた。腹部所見は膨隆・軟,腸蠕動音減弱,右側腹部を中心で腹部全体に圧痛を認めた。反跳痛はなく,叩打痛がみられた。血液検査で炎症反応を認め,腹部X線では拡張した小腸ガス像が,腹部単純CTでは上腹部中心にfree airを認め,部位は不明だが消化管穿孔と考え緊急手術を施行した。術中所見では回腸末端部から10cm口側の部分に単発の穿孔を認めその部位を切除した。病理組織学的所見は単純性小腸穿孔であった。【考察】小腸穿孔の症例報告は比較的少ないが,本例は特発性小腸穿孔の可能性もあるがLDA投与歴があり,これによる薬剤性小腸穿孔の因果関係が示唆される興味ある1例であったため報告した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.819