劇症肝不全症例に対する肝移植を考慮した集中治療
当院にて劇症肝不全症例に対して,生体肝移植を考慮した集中治療を行った28例を対象に治療開始時期,移植適応の有無,転帰を,移植症例の移植時期,移植後合併症,転帰を検討した。症例の年齢は平均42.4歳(0~82歳),男女比13:15であった。原疾患はB型肝炎9例,薬剤性7例,不明12例,また亜急性19例,急性9例で,治療開始時脳症はI度2例,II度17例,III度以上が9例であった。7例には生体肝移植を行ったが,13例は移植できずに失った。8例が内科的治療で回復した。全症例の救命率は42.9%であり,内科的治療のみでは38.1%,移植症例は57.1%であった。劇症肝不全の治療は,適切な肝補助療法の...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 29; no. 4; pp. 623 - 627 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2009
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.29.623 |
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Summary: | 当院にて劇症肝不全症例に対して,生体肝移植を考慮した集中治療を行った28例を対象に治療開始時期,移植適応の有無,転帰を,移植症例の移植時期,移植後合併症,転帰を検討した。症例の年齢は平均42.4歳(0~82歳),男女比13:15であった。原疾患はB型肝炎9例,薬剤性7例,不明12例,また亜急性19例,急性9例で,治療開始時脳症はI度2例,II度17例,III度以上が9例であった。7例には生体肝移植を行ったが,13例は移植できずに失った。8例が内科的治療で回復した。全症例の救命率は42.9%であり,内科的治療のみでは38.1%,移植症例は57.1%であった。劇症肝不全の治療は,適切な肝補助療法の選択と施行,さらに肝移植へのタイミングを逸しないことが重要である。そのために治療早期より肝臓内科医,移植外科医,臨床工学士などのチームで治療に当たる必要があると思われる。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.29.623 |