感圧型咬合紙による各種不正咬合患者の咬合接触面積と咬合力の保定期間中の変化

本研究では感圧型咬合紙のデンタルプレスケールを用い, 各種不正咬合患者の咬合接触面積 (OcAr) と咬合力 (OcFr) が器械保定中にどのような変化を起こすのかを縦断的資料によって比較検討した.対象は昭和大学歯科病院矯正科に通院中で, 以下の1-5) を満たすものをI, II, III級 (Cl.I, II, III) さらに外科的III級 (S-Cl.III) に分類した.1) 顎口腔系に臨床的な機能異常がなく, 2) 顔面の極端な非対称を呈さず, 3) 唇裂, 口蓋裂がなく, 4) 上下臼歯部に欠損や著しい歯冠崩壊がなく, 5) 第二大臼歯がすべて萌出, 咬合しているもの.以上の患者は...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 137 - 143
Main Authors 三河, 雅敏, 田中, 憲男, 齋藤, 茂, 柴崎, 好伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 2002
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ISSN0285-922X
2186-5396
DOI10.11516/dentalmedres1981.22.137

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Summary:本研究では感圧型咬合紙のデンタルプレスケールを用い, 各種不正咬合患者の咬合接触面積 (OcAr) と咬合力 (OcFr) が器械保定中にどのような変化を起こすのかを縦断的資料によって比較検討した.対象は昭和大学歯科病院矯正科に通院中で, 以下の1-5) を満たすものをI, II, III級 (Cl.I, II, III) さらに外科的III級 (S-Cl.III) に分類した.1) 顎口腔系に臨床的な機能異常がなく, 2) 顔面の極端な非対称を呈さず, 3) 唇裂, 口蓋裂がなく, 4) 上下臼歯部に欠損や著しい歯冠崩壊がなく, 5) 第二大臼歯がすべて萌出, 咬合しているもの.以上の患者はすべてマルチブラケット装置による治療を終え器械保定中であり, デンタルプレスケールの採得は保定初期 (保定開始6か月未満), 中期 (同6か月以上1年6か月未満), 後期 (同1年6か月以上) の計3回行った.その結果, 男女のすべての不正咬合型に, 保定期間中のOcArとOcFrの有意な増加がみられた.OcArとOcFrの増加率には各不正咬合間に大きな差はなかったが, 男女ともS-Cl.III>Cl.I>Cl.II>Cl.IIIの順であった.従って男女ともR1ではCl.III>S-Cl.IIIであったOcArやOcFrはR3においては逆転した.女子におけるOcArとOcFrは各保定時期においてCl.I>Cl.II>Cl.III≒S-Cl.IIIの順であるが, 男子ではCl.IIが最も低く他の3型はほぼ同等であった.以上より, マルチブラケット装置による矯正治療を終え, 器械保定を行っている患者のOcArやOcFrは男女とも抜歯の有無や不正咬合型にかかわらず経時的に増加することが明らかになった.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.22.137