腹腔鏡下S状結腸切除後に発症した虚血性大腸炎の1例
症例は54歳の女性で,主訴は下腹部痛,便秘で,高脂血症の既往があり内服治療されていた。2年前にS状結腸癌の診断で腹腔鏡下S状結腸切除術を受け,経過観察されていた。1ヵ月前より便秘傾向があり排便困難を自覚していたが,下腹部痛が出現したため精査・加療目的で入院となった。下部消化管内視鏡検査では,肛門縁より約18cmの部位に吻合部がみられ,その肛門側腸管に約8cmの全周性粘膜浮腫を認め,伸展性は不良であった。虚血性大腸炎の診断で保存的治療を施行した。入院8週後の内視鏡検査で狭窄部腸管の改善を認め食事を開始し,第9週に退院した。高血圧,糖尿病,高脂血症などの血管側因子を併存する左側大腸癌症例では,術後...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 30; no. 4; pp. 577 - 580 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2010
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.30.577 |
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Summary: | 症例は54歳の女性で,主訴は下腹部痛,便秘で,高脂血症の既往があり内服治療されていた。2年前にS状結腸癌の診断で腹腔鏡下S状結腸切除術を受け,経過観察されていた。1ヵ月前より便秘傾向があり排便困難を自覚していたが,下腹部痛が出現したため精査・加療目的で入院となった。下部消化管内視鏡検査では,肛門縁より約18cmの部位に吻合部がみられ,その肛門側腸管に約8cmの全周性粘膜浮腫を認め,伸展性は不良であった。虚血性大腸炎の診断で保存的治療を施行した。入院8週後の内視鏡検査で狭窄部腸管の改善を認め食事を開始し,第9週に退院した。高血圧,糖尿病,高脂血症などの血管側因子を併存する左側大腸癌症例では,術後には便通異常による腸管内圧の上昇に注意することが重要であると考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.30.577 |