偽性嚢胞を形成した胃迷入膵穿孔による汎発性腹膜炎の1例
症例は15歳女性。既往歴として先天性脳梁欠損症。嘔吐と腹痛を主訴に当院救急外来を受診した。来院時, 軽度の腹部膨満があり, 腹部全体に圧痛と筋性防御を認めた。白血球19,500/mm3, CRP33.21mg/dl と高度の炎症所見を認め, 腹部CT所見で腹水の貯留と胃から結腸にかけての腸管の拡張とガスの貯留がみられた。絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行したところ, 胃体下部大弯側に有茎性の嚢胞性病変を認め, それが穿孔し汎発性腹膜炎を呈していた。手術は穿孔した嚢胞性病変を胃壁の一部を含めて切除し, 洗浄ドレナージを施行した。術後経過は良好で術後第17病日に退院した。病理組織診では, 嚢胞は胃...
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          | Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 27; no. 6; pp. 899 - 902 | 
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| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本腹部救急医学会
    
        2007
     Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1340-2242 1882-4781  | 
| DOI | 10.11231/jaem.27.899 | 
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| Summary: | 症例は15歳女性。既往歴として先天性脳梁欠損症。嘔吐と腹痛を主訴に当院救急外来を受診した。来院時, 軽度の腹部膨満があり, 腹部全体に圧痛と筋性防御を認めた。白血球19,500/mm3, CRP33.21mg/dl と高度の炎症所見を認め, 腹部CT所見で腹水の貯留と胃から結腸にかけての腸管の拡張とガスの貯留がみられた。絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行したところ, 胃体下部大弯側に有茎性の嚢胞性病変を認め, それが穿孔し汎発性腹膜炎を呈していた。手術は穿孔した嚢胞性病変を胃壁の一部を含めて切除し, 洗浄ドレナージを施行した。術後経過は良好で術後第17病日に退院した。病理組織診では, 嚢胞は胃壁を巻き込んだ偽性嚢胞で内部にLangerhans島および導管を認め, Chromogranin A染色でも陽性を示した。以上から胃壁内迷入膵が偽性嚢胞を形成し, これが穿孔した極めてまれな病態と診断した。 | 
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| ISSN: | 1340-2242 1882-4781  | 
| DOI: | 10.11231/jaem.27.899 |