ダイナミック造影MRIを用いた腫瘍における循環動態の簡易定量法の検討

【目的】ダイナミック造影MRIは、対象組織における造影剤の濃度変化を画像化することで、血管新生により増加する腫瘍の循環動態を定量評価することができ、腫瘍の診断能向上や治療効果判定に役立つものと期待される。しかし、従来の薬物動態モデルを用いた解析法は、計算が煩雑な上に定量精度が低い。本研究では、前立腺腫瘍を対象に、シミュレーションおよび実データを用い、簡便かつ精度が高い循環動態の定量評価法を検討した。【方法】血管と組織を独立したコンパートメントとみ、造影剤の組織移行速度定数(Ktrans)、血管外細胞外腔の体積比(Ve)、血管内成分の体積比(Vp)をパラメータとする2コンパートメントモデルを基に...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. 54Annual; no. 27PM-Abstract; p. S233
Main Authors 尾松, 徳彦, 辻, 比呂志, 小畠, 隆行, 生駒, 洋子, 立花, 泰彦, 岸本, 理和, 野宮, 琢磨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2016
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.54Annual.S233

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Summary:【目的】ダイナミック造影MRIは、対象組織における造影剤の濃度変化を画像化することで、血管新生により増加する腫瘍の循環動態を定量評価することができ、腫瘍の診断能向上や治療効果判定に役立つものと期待される。しかし、従来の薬物動態モデルを用いた解析法は、計算が煩雑な上に定量精度が低い。本研究では、前立腺腫瘍を対象に、シミュレーションおよび実データを用い、簡便かつ精度が高い循環動態の定量評価法を検討した。【方法】血管と組織を独立したコンパートメントとみ、造影剤の組織移行速度定数(Ktrans)、血管外細胞外腔の体積比(Ve)、血管内成分の体積比(Vp)をパラメータとする2コンパートメントモデルを基に、対象部位と参照部位の造影剤濃度の関係から両者のKtrans比を求める参照領域法を導出した。この参照領域法においてシミュレーションを行い、画像中の雑音や時間分解能、VeやVpの変動がKtrans比の推定値に与える影響を検討した。次に、本手法を前立腺腫瘍の造影MRI画像に応用し、内閉鎖筋および大臀筋を参照領域に用い、前立腺の正常部位と腫瘍部位のKtrans比を評価した。【結果】シミュレーションでは、参照領域法で算出したKtrans比は真値と良い相関を示し、従来法に比べ推定精度が向上した。臨床データでは、前立腺の腫瘍部位でKtrans比の上昇が見られた。【結論】参照領域法は簡便かつ高精度で、腫瘍の循環動態の評価に有用と考えられる。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.54Annual.S233