肺転移を伴う切除不能型肝芽腫に対し,生体肝移植を含む集学的治療で救命し得た1幼児例
近年,肝外病変を伴う切除不能型肝芽腫に対し大量化学療法や外科的切除によって肝外病変をコントロールし肝移植を行った報告があるが,その適応や評価は各施設の判断に委ねられている.今回,多発肺転移を伴う切除不能型肝芽腫に対し,我々が行った肝移植を含む集学的治療について報告する.症例は2歳の女児.発熱を主訴に前医受診し精査でα-fetoprotein(AFP)の異常高値と腹部CTで肝両葉を占居する腫瘤病変を認め当院紹介となった.入院後の精査で肺にも腫瘤状陰影を認め,肝生検より肝芽腫の診断となった.多剤併用化学療法にて肺転移は著明に縮小し,左3区域切除術を施行した.しかし術後早期に残肝再発を認めたため,試...
Saved in:
Published in | 岩手医学雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 21 - 27 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
岩手医学会
01.04.2019
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-3284 2434-0855 |
DOI | 10.24750/iwateishi.71.1_21 |
Cover
Summary: | 近年,肝外病変を伴う切除不能型肝芽腫に対し大量化学療法や外科的切除によって肝外病変をコントロールし肝移植を行った報告があるが,その適応や評価は各施設の判断に委ねられている.今回,多発肺転移を伴う切除不能型肝芽腫に対し,我々が行った肝移植を含む集学的治療について報告する.症例は2歳の女児.発熱を主訴に前医受診し精査でα-fetoprotein(AFP)の異常高値と腹部CTで肝両葉を占居する腫瘤病変を認め当院紹介となった.入院後の精査で肺にも腫瘤状陰影を認め,肝生検より肝芽腫の診断となった.多剤併用化学療法にて肺転移は著明に縮小し,左3区域切除術を施行した.しかし術後早期に残肝再発を認めたため,試験胸腔鏡で肺転移が無いことを確認し生体肝移植を行った.術後経過は良好で現在再発なく外来通院中である.肝芽腫の肺転移の評価には様々な方法があるが末梢病変である本症例は胸腔鏡下手術が非常に有効であった. |
---|---|
ISSN: | 0021-3284 2434-0855 |
DOI: | 10.24750/iwateishi.71.1_21 |