2002-2003年に福島県須賀川市周辺で流行した麻疹に関する検討
2002年春から福島県南部にある須賀川市を中心に麻疹の流行が始まり, 2003年夏にようやく収束した. 須賀川市にある公立岩瀬病院は, 麻疹流行地域内にある中核病院であり, 2002年4月1日から2003年7月31日までの16カ月間に382例の麻疹患者が入院した. この入院症例を対象に, 罹患年齢, 予防接種歴, 家族内感染の有無, 合併症等について, 入院診療録をもとに回顧的に調査した. また, 当地区におけるワクチン接種率とその算定方法を検討し, ワクチン接種の問題点を明らかにした. その結果, 1) ワクチン未接種の乳幼児が核となり流行が拡大したこと, 2) 麻疹は現在においても重篤な疾...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 80; no. 2; pp. 103 - 107 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.03.2006
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Subjects | |
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.80.103 |
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Summary: | 2002年春から福島県南部にある須賀川市を中心に麻疹の流行が始まり, 2003年夏にようやく収束した. 須賀川市にある公立岩瀬病院は, 麻疹流行地域内にある中核病院であり, 2002年4月1日から2003年7月31日までの16カ月間に382例の麻疹患者が入院した. この入院症例を対象に, 罹患年齢, 予防接種歴, 家族内感染の有無, 合併症等について, 入院診療録をもとに回顧的に調査した. また, 当地区におけるワクチン接種率とその算定方法を検討し, ワクチン接種の問題点を明らかにした. その結果, 1) ワクチン未接種の乳幼児が核となり流行が拡大したこと, 2) 麻疹は現在においても重篤な疾患であり, 合併症も多く, 時に死亡する症例があること, 3) 感染率が高く, ワクチン以外に有効な予防手段が無いこと, 4) 厚生労働省の地域保健事業報告に用いられている接種率の算定方法では実態が的確に反映されていないことなどが明らかになった. 麻疹の流行を抑えるには, 麻疹罹患者数と死亡者数を正確に把握し, 麻疹の脅威を認識すること, 接種率の実態を正確に把握し, ワクチンは効果が低いという誤った認識を払拭すること, 保護者, 医療者, 行政に, ワクチンにより麻疹の流行を抑制するというコンセンサスがあり, ワクチン接種を強力に推進することが必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.80.103 |