術前診断したWinslow孔ヘルニアの1例

症例は76歳女性。心窩部痛と嘔吐を主訴に前医を受診し,当院へ紹介となった。CTで門脈の右尾側から背側を経由し網嚢内に脱出した小腸を認めた。Winslow孔ヘルニア嵌頓と診断し,発症42時間後に緊急手術を施行した。腹腔鏡観察にて中等量の血性腹水を認めた。腸管切除を含めた操作が必要になると判断し,上腹部正中切開による開腹に移行した。Treitz靭帯より270cmから340cmの回腸が嵌頓しており,同部をWinslow孔から用手的に引き出した。腸管は著明に鬱血していたが,嵌頓解除後速やかに色調の改善を認めたため結局切除を行わなかった。ヘルニア門は2横指で,3針の縫縮を行った。経過良好で術後12日目に...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 29; no. 5; pp. 753 - 756
Main Authors 徳毛, 誠樹, 岡, 智, 大橋, 龍一郎, 村岡, 孝幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2009
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.29.753

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Summary:症例は76歳女性。心窩部痛と嘔吐を主訴に前医を受診し,当院へ紹介となった。CTで門脈の右尾側から背側を経由し網嚢内に脱出した小腸を認めた。Winslow孔ヘルニア嵌頓と診断し,発症42時間後に緊急手術を施行した。腹腔鏡観察にて中等量の血性腹水を認めた。腸管切除を含めた操作が必要になると判断し,上腹部正中切開による開腹に移行した。Treitz靭帯より270cmから340cmの回腸が嵌頓しており,同部をWinslow孔から用手的に引き出した。腸管は著明に鬱血していたが,嵌頓解除後速やかに色調の改善を認めたため結局切除を行わなかった。ヘルニア門は2横指で,3針の縫縮を行った。経過良好で術後12日目に退院した。ヘリカルCTによってヘルニア門の正確な術前診断が可能であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.29.753