顎関節に生じたびまん型腱滑膜巨細胞腫の1例

びまん型腱滑膜巨細胞腫は,関節滑膜や腱鞘から発生する良性骨軟部腫瘍であり,腱滑膜巨細胞腫の亜分類である.主に膝関節などの大関節に発生し,顎関節に発生することは極めて稀とされている.今回経験した症例は,左顎関節痛,開口障害,頭痛を主訴に前医を受診し,頭頸部CT検査において左顎関節部腫瘤を指摘された.CTガイド下生検において巨細胞修復性肉芽腫が疑われ,治療目的で当院に紹介となった.当院においても画像検査を行ったが,確定診断には至らなかった.診断および治療目的に初回の外科的切除を行い,病理結果と発生部位よりびまん型腱滑膜巨細胞腫の診断となった.その後,頭痛の再燃を認め,残存病変によるものと考え,術後...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 66; no. 5; pp. 217 - 223
Main Authors 川崎, 健史, 白木, 雄一郎, 長岡, 真人, 小林, 俊樹, 由井, 亮輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.10.2023
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.66.5_217

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Summary:びまん型腱滑膜巨細胞腫は,関節滑膜や腱鞘から発生する良性骨軟部腫瘍であり,腱滑膜巨細胞腫の亜分類である.主に膝関節などの大関節に発生し,顎関節に発生することは極めて稀とされている.今回経験した症例は,左顎関節痛,開口障害,頭痛を主訴に前医を受診し,頭頸部CT検査において左顎関節部腫瘤を指摘された.CTガイド下生検において巨細胞修復性肉芽腫が疑われ,治療目的で当院に紹介となった.当院においても画像検査を行ったが,確定診断には至らなかった.診断および治療目的に初回の外科的切除を行い,病理結果と発生部位よりびまん型腱滑膜巨細胞腫の診断となった.その後,頭痛の再燃を認め,残存病変によるものと考え,術後の機能障害が残存する可能性はあるものの局所制御の観点から広範切除術を用いた2回目の外科的切除を行なった.巨細胞修復性肉芽腫は病変の十分な掻爬術や摘出術によって再発率は10~17%とされているが,びまん型腱滑膜巨細胞腫は再発率が25~46%と高く,術後の機能障害が残存する可能性はあるものの局所制御の観点から広範切除が望ましいと考えた.
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.66.5_217