輪状軟骨原発の喉頭軟骨肉腫の1例

軟骨肉腫は原発性骨悪性腫瘍の一つで骨盤や大腿骨などに多く,頭頸部領域に出現するものは稀である.今回輪状軟骨原発の喉頭軟骨肉腫症例を経験したため報告する.症例は87歳男性,2年前より持続する嗄声を主訴に受診した.上気道狭窄音と呼吸苦を認め,緊急気管切開術を施行し気道を確保した.内視鏡所見やCT/MRI所見から喉頭軟骨肉腫が疑われ,生検の組織所見では軟骨肉腫Grade Iを筆頭に内軟骨腫も鑑別に挙がった.輪状軟骨を中心に骨破壊性変化を伴う画像所見から悪性の可能性が高いと判断し,喉頭全摘出術,右頸部郭清術,甲状腺右葉切除術を施行した.切除後の病理組織精査により,軟骨肉腫Grade Iの診断を得た.軟...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 66; no. 5; pp. 224 - 229
Main Authors 弦本, 惟郎, 森下, 幸太郎, 水上, 準也, 土田, 敬介, 水成, 陽介, 高石, 慎也, 結束, 寿, 小林, 俊樹, 大谷, 晃嗣, 中山, 潤, 宮澤, 渉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.10.2023
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.66.5_224

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Summary:軟骨肉腫は原発性骨悪性腫瘍の一つで骨盤や大腿骨などに多く,頭頸部領域に出現するものは稀である.今回輪状軟骨原発の喉頭軟骨肉腫症例を経験したため報告する.症例は87歳男性,2年前より持続する嗄声を主訴に受診した.上気道狭窄音と呼吸苦を認め,緊急気管切開術を施行し気道を確保した.内視鏡所見やCT/MRI所見から喉頭軟骨肉腫が疑われ,生検の組織所見では軟骨肉腫Grade Iを筆頭に内軟骨腫も鑑別に挙がった.輪状軟骨を中心に骨破壊性変化を伴う画像所見から悪性の可能性が高いと判断し,喉頭全摘出術,右頸部郭清術,甲状腺右葉切除術を施行した.切除後の病理組織精査により,軟骨肉腫Grade Iの診断を得た.軟骨肉腫Grade Iは発生部位によっては掻爬術も考慮されるが,喉頭軟骨原発の症例では腫瘍の大きさや部位により,治療方針を慎重に検討する必要がある.喉頭軟骨原発の軟骨肉腫は症例が少なく,明確な治療基準は存在しない.そのため,症例に応じて適切な治療方針を吟味し決定していく必要がある.
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.66.5_224