側頭筋を中心とした咀嚼筋間隙膿瘍の1例

側頭筋内膿瘍は頸部膿瘍の中でも文献的報告が少なく, 発症病態の詳細はあまり知られていない。 側頭筋は咀嚼筋に含まれ, 上記疾患の症状として開口障害, 側頭部腫脹を呈する。 炎症は咀嚼筋間隙内の咬筋, 内・外側翼突筋や隣接する間隙にも波及することがあり, その波及形式の相違によっても臨床像は多彩である。 顔面痛を主訴に発症した基礎疾患のない側頭筋内膿瘍を経験した。 本邦での頸部膿瘍形成としては下方への波及が典型的であるが, 今回経験した側頭筋内膿瘍では側頭筋に沿って上方へ波及した膿瘍を形成していた。 CT など画像による病巣評価のみならず, 開口障害, 側頭部腫脹といった身体所見に着目することが...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 63; no. 3; pp. 104 - 108
Main Authors 西谷, 友樹雄, 小島, 博己, 山本, 裕, 高津, 南美子, 新井, 佑梨, 木村, 優里, 鴻, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.2020
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.63.3_104

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Summary:側頭筋内膿瘍は頸部膿瘍の中でも文献的報告が少なく, 発症病態の詳細はあまり知られていない。 側頭筋は咀嚼筋に含まれ, 上記疾患の症状として開口障害, 側頭部腫脹を呈する。 炎症は咀嚼筋間隙内の咬筋, 内・外側翼突筋や隣接する間隙にも波及することがあり, その波及形式の相違によっても臨床像は多彩である。 顔面痛を主訴に発症した基礎疾患のない側頭筋内膿瘍を経験した。 本邦での頸部膿瘍形成としては下方への波及が典型的であるが, 今回経験した側頭筋内膿瘍では側頭筋に沿って上方へ波及した膿瘍を形成していた。 CT など画像による病巣評価のみならず, 開口障害, 側頭部腫脹といった身体所見に着目することが本症例の病態把握に重要である。 側頭部穿刺, 経口腔的切開排膿, 抗生剤投与で軽快した1例であった。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.63.3_104