鼻中隔を原発とした多形腺腫の1例

鼻中隔を基部とした多形腺腫の症例を経験した。 症例は67歳男性。 右鼻閉, 水様性鼻漏を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診し, 右鼻内の腫瘤性病変を指摘され, 精査・加療目的に当科を紹介受診した。 CT 検査で鼻腔後方の鼻中隔を基部とした, 鼻腔内に限局する腫瘤性病変を認めた。 内視鏡下で摘出が可能と判断し, 内視鏡下鼻腔腫瘍摘出術を施行した。 腫瘍は鼻中隔軟骨・篩骨垂直板との癒着を伴わず剥離容易であり, 完全切除が可能であった。 病理組織学的検査で多形腺腫と診断され, 現在外来で経過観察中である。 多形腺腫は上皮性腫瘍の一種であり, 良性腫瘍として知られている。 耳鼻咽喉科領域においては耳下腺・顎下...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 62; no. 3; pp. 121 - 127
Main Authors 常見, 泰弘, 平林, 秀樹, 柏木, 隆志, 金谷, 洋明, 田中, 康広, 春名, 眞一, 阿久津, 誠, 宮下, 恵祐, 青木, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.2019
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.62.3_121

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Summary:鼻中隔を基部とした多形腺腫の症例を経験した。 症例は67歳男性。 右鼻閉, 水様性鼻漏を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診し, 右鼻内の腫瘤性病変を指摘され, 精査・加療目的に当科を紹介受診した。 CT 検査で鼻腔後方の鼻中隔を基部とした, 鼻腔内に限局する腫瘤性病変を認めた。 内視鏡下で摘出が可能と判断し, 内視鏡下鼻腔腫瘍摘出術を施行した。 腫瘍は鼻中隔軟骨・篩骨垂直板との癒着を伴わず剥離容易であり, 完全切除が可能であった。 病理組織学的検査で多形腺腫と診断され, 現在外来で経過観察中である。 多形腺腫は上皮性腫瘍の一種であり, 良性腫瘍として知られている。 耳鼻咽喉科領域においては耳下腺・顎下腺など大唾液腺に好発するが, 低頻度ながら鼻腔・口蓋などの小唾液腺にも発生する。 良性腫瘍だが, 稀ながら悪性腫瘍に転化することがある。 そのため摘出に際しては腫瘤を一塊に摘出する必要があり, また術後も慎重な経過観察が必要である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.62.3_121