トモシンセシス機能を有するパノラマX線装置を用いて撮影した唾石症のX線所見

従来のパノラマX線画像では, 2つの解剖構造の頬舌的位置の把握は不可能であり, 全身用もしくは歯科用コーンビームCTによる検査が必要となる症例が少なくない. 近年, トモシンセシス機能を搭載したパノラマ撮影装置が開発されたが, トモシンセシス(tomosynthesis)とは, tomographyとsynthesisからの造語であり, 1回の断層撮影で得られたフレーム画像データのシフト量を変化させて加算することにより, 任意の深さの断層像を再構成する手法である. つまりフォーカスの合う深さを通常のパノラマ撮影で使用されているフォーカスに比較して, 唇側あるいは舌側に少しずつ, 連続的に移動さ...

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Published in歯科放射線 Vol. 53; no. 4; pp. 32 - 33
Main Authors 内藤, 宗孝, 木瀬, 祥貴, 有地, 淑子, 中山, 美和, 有地, 榮一郎, 勝又, 明敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 2013
日本歯科放射線学会
Subjects
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ISSN0389-9705
2185-6311
DOI10.11242/dentalradiology.53.32

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Summary:従来のパノラマX線画像では, 2つの解剖構造の頬舌的位置の把握は不可能であり, 全身用もしくは歯科用コーンビームCTによる検査が必要となる症例が少なくない. 近年, トモシンセシス機能を搭載したパノラマ撮影装置が開発されたが, トモシンセシス(tomosynthesis)とは, tomographyとsynthesisからの造語であり, 1回の断層撮影で得られたフレーム画像データのシフト量を変化させて加算することにより, 任意の深さの断層像を再構成する手法である. つまりフォーカスの合う深さを通常のパノラマ撮影で使用されているフォーカスに比較して, 唇側あるいは舌側に少しずつ, 連続的に移動させたパノラマ像が取得できる. トモシンセシス機能を用いると, パノラマX線写真上で顎骨と重なって描出された構造物の頬舌的位置関係を把握できる可能性がある. 今回はパノラマX線画像上で顎骨と重なって描出された唾石について, トモシンセシス機能を用いて複数の断層画像を作成することによって, 頬舌的な位置関係の把握が可能であり, 本機能の臨床的な有用性を示唆する症例を経験したので紹介する.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology.53.32