TDMによる抗菌薬の適正な使用方法

「1. はじめに」北里大学病院では, 1998年4月にTDM(Therapeutic Drug Monitoring)部門を設立し, 2名の専任薬剤師により業務を展開してきた. 抗MRSA薬である塩酸バンコマイシン(Vancomycin chloride;VCM)及びアミノ配糖体系抗菌薬を中心に薬物動態解析を開始し, 現在はすべての薬物に対応している. 解析対象として多い薬物は, グリコペプチド系抗菌薬, アミノ配糖体系抗菌薬及び免疫抑制薬であり, 医師からの信頼も高く, 臨床から高い評価を受けている. また, TDM部門の設立当初より, 新生児及び腎不全患者の体内薬物動態に着目し, 研究業務...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 6; pp. 925 - 929
Main Authors 木村, 利美, 矢後, 和夫, 国分, 秀也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2007
日本薬学会
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.127.925

Cover

More Information
Summary:「1. はじめに」北里大学病院では, 1998年4月にTDM(Therapeutic Drug Monitoring)部門を設立し, 2名の専任薬剤師により業務を展開してきた. 抗MRSA薬である塩酸バンコマイシン(Vancomycin chloride;VCM)及びアミノ配糖体系抗菌薬を中心に薬物動態解析を開始し, 現在はすべての薬物に対応している. 解析対象として多い薬物は, グリコペプチド系抗菌薬, アミノ配糖体系抗菌薬及び免疫抑制薬であり, 医師からの信頼も高く, 臨床から高い評価を受けている. また, TDM部門の設立当初より, 新生児及び腎不全患者の体内薬物動態に着目し, 研究業務を行ってきた. PK-PDパラメータが重要視される抗菌薬の使用に当たって, 特殊病態における薬物動態の変化を把握することは極めて重要である. 今回, これまでに蓄積された抗菌薬のTDMデータを提示し, 特殊な母集団における抗菌薬の適正な用法, 用量設定法について考察する. 「2. 新生児における抗菌薬の適正使用」新生児における体内水分量は成人に比べ多く, 成人が60%であるのに対し, 低出生体重児では85%, 新生児では75%程度であると言われている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.925