遅発性に腸管狭窄をきたし小腸切除を行ったNOMIの1例
症例は76歳の男性で,腹痛を主訴に救急外来を受診した。来院時,腹膜刺激症状を伴うショック状態であり,腹部CT検査で門脈ガスを認めたため,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した。回腸に非連続性の暗赤色の色調変化を認め,非閉塞性腸間膜虚血症(non─occlusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)と診断した。腸管壊死には至っていなかったため,second look operationの方針とした。12時間後,再開腹術を行ったが,腸管の色調が改善していたため,切除は行わずに閉腹した。しかし,術後,腹痛,嘔吐を繰り返すようになり,第31病日に試験開腹術となった。回腸に約5cmの狭...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 7; pp. 1271 - 1275 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.36.1271 |
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Summary: | 症例は76歳の男性で,腹痛を主訴に救急外来を受診した。来院時,腹膜刺激症状を伴うショック状態であり,腹部CT検査で門脈ガスを認めたため,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した。回腸に非連続性の暗赤色の色調変化を認め,非閉塞性腸間膜虚血症(non─occlusive mesenteric ischemia:以下,NOMI)と診断した。腸管壊死には至っていなかったため,second look operationの方針とした。12時間後,再開腹術を行ったが,腸管の色調が改善していたため,切除は行わずに閉腹した。しかし,術後,腹痛,嘔吐を繰り返すようになり,第31病日に試験開腹術となった。回腸に約5cmの狭窄部位を認め,小腸部分切除を行った。病理組織学的所見では腸管全層に繊維化をきたしており,虚血に伴う遅発性腸管狭窄と診断された。NOMIによる遅発性腸管狭窄の報告はまれであり,文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.36.1271 |