直腸診が診断に有用であった坐骨ヘルニアの1例
症例は49歳,女性。10年前より年に1~2回程度,右下肢痛を伴う下腹部痛を認めていたが,半日程度で症状は自然に消失しており,坐骨神経痛と診断されていた。今回,右下肢痛を伴う下腹部痛が軽快せず,当院救急外来を受診した。直腸診にて直腸に壁外性腫瘤を触知し,同部位の圧痛および右下肢痛の増強を認めた。腹部CT検査を行い,右坐骨ヘルニア嵌頓と診断した。緊急手術を施行し,右坐骨孔にRichter型に嵌頓した小腸を認め,牽引し解除した。腸切除は施行せず,ヘルニア門を卵巣で被覆した。坐骨ヘルニアはまれな疾患であるが,原因不明の繰り返す下腹部痛に坐骨神経痛を伴う場合には,坐骨ヘルニアを鑑別診断としてあげ,現病歴...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 6; pp. 1145 - 1148 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.36.1145 |
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Summary: | 症例は49歳,女性。10年前より年に1~2回程度,右下肢痛を伴う下腹部痛を認めていたが,半日程度で症状は自然に消失しており,坐骨神経痛と診断されていた。今回,右下肢痛を伴う下腹部痛が軽快せず,当院救急外来を受診した。直腸診にて直腸に壁外性腫瘤を触知し,同部位の圧痛および右下肢痛の増強を認めた。腹部CT検査を行い,右坐骨ヘルニア嵌頓と診断した。緊急手術を施行し,右坐骨孔にRichter型に嵌頓した小腸を認め,牽引し解除した。腸切除は施行せず,ヘルニア門を卵巣で被覆した。坐骨ヘルニアはまれな疾患であるが,原因不明の繰り返す下腹部痛に坐骨神経痛を伴う場合には,坐骨ヘルニアを鑑別診断としてあげ,現病歴・既往歴の十分な聴取をしたうえでの直腸診が有用であると考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.36.1145 |