ナビゲーションシステムの導入に向けたアプローチ

近年, 画像診断技術の向上等に伴い小径腎癌が偶発的に発見されることが非常に多くなっている. さらに全国的な手術支援ロボットの導入も進み, 2016年4月に保険収載されたロボット支援下腎部分切除術 (RAPN) は急速に普及している. 最近ではT1a腎癌に限らず, 腎機能温存の観点からT1b腎癌や高難度症例に対しても積極的にRAPNを行う施設が増えてきている. また, 術者に関しても開腹手術や腹腔鏡手術を十分経験しているベテラン医師だけでなく, 最初からロボット手術世代の若手医師も増えてきている. このような状況でもRAPNにおけるTrifecta (1. 切除断端陰性 2. 温阻血時間25分未...

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Published inJapanese Journal of Endourology and Robotics Vol. 35; no. 2; pp. 189 - 193
Main Authors 岩村, 正嗣, 石井, 大輔, 池田, 勝臣, 藤田, 哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 2022
Japanese Society of Endourology and Robotics
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ISSN2436-875X
DOI10.11302/jserjje.35.2_189

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Summary:近年, 画像診断技術の向上等に伴い小径腎癌が偶発的に発見されることが非常に多くなっている. さらに全国的な手術支援ロボットの導入も進み, 2016年4月に保険収載されたロボット支援下腎部分切除術 (RAPN) は急速に普及している. 最近ではT1a腎癌に限らず, 腎機能温存の観点からT1b腎癌や高難度症例に対しても積極的にRAPNを行う施設が増えてきている. また, 術者に関しても開腹手術や腹腔鏡手術を十分経験しているベテラン医師だけでなく, 最初からロボット手術世代の若手医師も増えてきている. このような状況でもRAPNにおけるTrifecta (1. 切除断端陰性 2. 温阻血時間25分未満 3. 術後合併症) を目標とし, 安全な手術を行う事が要求される. 現在我々の施設では, 3D画像解析システム (SYNAPSE VINCENT®) を用いて3D画像を作成し, 術前シミュレーションを行っている. さらに手術時にTileProと連動させることで術中ナビゲーションの取り組みを開始している. 3D画像の作成により腫瘍の位置や大きさ, 埋没度の把握, 腎動静脈・腫瘍血管の把握, 切除ラインの予測, 腎杯等尿路との位置関係の把握など術者も助手も全員が同じ手術イメージを共有できることが可能となり, 若手医師の教育にも大いに役立っている. 一方, ナビゲーションシステムとしては術中画像と3D画像のfusionができない事や切除ラインの決定をナビすることが出来ないなどまだまだ課題も多く, 今後さらなるシステム開発が期待される分野である.
ISSN:2436-875X
DOI:10.11302/jserjje.35.2_189