脾動脈に穿破して大量出血した胃潰瘍の1例

症例は70歳,男性。意識消失を主訴に当院に救急搬送された。心窩部痛と黒色便を伴い,長期にわたるNon-Steroidal Anti-Inflammatory Drug(NSAID)内服歴があった。プレショック状態にあり,上部消化管出血が疑われて緊急入院となった。入院後に大量吐血を伴うショックとなり,緊急上部内視鏡検査で胃体上部後壁に巨大な出血性潰瘍を認めた。活動性出血で内視鏡的止血は困難であったので緊急手術を行った。胃体部後壁の潰瘍が膵前面に穿通して潰瘍底で脾動脈が破綻していた。胃全摘および膵体尾部切除を行い救命可能であった。脾動脈穿破は胃潰瘍のまれな合併症の一つであるが,致命的な病態であり,...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 7; pp. 1381 - 1384
Main Authors 棚橋, 俊介, 山本, 裕崇, 松友, 寛和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.1381

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Summary:症例は70歳,男性。意識消失を主訴に当院に救急搬送された。心窩部痛と黒色便を伴い,長期にわたるNon-Steroidal Anti-Inflammatory Drug(NSAID)内服歴があった。プレショック状態にあり,上部消化管出血が疑われて緊急入院となった。入院後に大量吐血を伴うショックとなり,緊急上部内視鏡検査で胃体上部後壁に巨大な出血性潰瘍を認めた。活動性出血で内視鏡的止血は困難であったので緊急手術を行った。胃体部後壁の潰瘍が膵前面に穿通して潰瘍底で脾動脈が破綻していた。胃全摘および膵体尾部切除を行い救命可能であった。脾動脈穿破は胃潰瘍のまれな合併症の一つであるが,致命的な病態であり,手術を含めた迅速な対応が重要であると考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1381