小児もやもや病の術後長期成績 当科における20年間の経験から
もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)は疾患概念の確立から約30年が経過し20), その病因, 病態, 治療法などが年々明らかとなりつつある1). 本疾患は小児にも好発し脳虚血発作を起こすという特徴を有しているが, さまざまな脳血行再建術が提唱されているものの, それらがもたらす5-10年以上にわたる長期予後に関しての報告は, 現在でもけっして多いとはいえない7)8)10)16)17)18). 当科では本疾患に対する脳血行再建術が始められて約20年が経過するが,今回, これまでに経験した症例の長期予後について, 初発症状, 手術時期, 手術方法, 脳虚血発作の推移, 脳循環動態, 知能, 就学およ...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 28; no. 6; pp. 421 - 426 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2000
日本脳卒中の外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs1987.28.6_421 |
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Summary: | もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)は疾患概念の確立から約30年が経過し20), その病因, 病態, 治療法などが年々明らかとなりつつある1). 本疾患は小児にも好発し脳虚血発作を起こすという特徴を有しているが, さまざまな脳血行再建術が提唱されているものの, それらがもたらす5-10年以上にわたる長期予後に関しての報告は, 現在でもけっして多いとはいえない7)8)10)16)17)18). 当科では本疾患に対する脳血行再建術が始められて約20年が経過するが,今回, これまでに経験した症例の長期予後について, 初発症状, 手術時期, 手術方法, 脳虚血発作の推移, 脳循環動態, 知能, 就学および就職状況など幅広い点から検討したので報告する. 対象 過去20年間に当科で経験した14歳未満で発症した小児もやもや病51例である. 男児21例, 女児30例であり, 発症は0-13歳であった. 1例を除いた50症例95半球に対して, 1-29歳時に脳血行再建術がなされた. 基本的に脳血行再建術は両側に対して実施したが, 非発作側で血管病変がきわめて軽度な症例(鈴木分類第1-2期)では片側のみの手術が行われた. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs1987.28.6_421 |