体外循環を用いた心肺蘇生術により腹腔内大量出血を起こした1例

心肺蘇生中に胸骨圧迫により医原性外傷が合併症として起こりうるが,体外式膜型心肺(ECMO)を用いた心肺蘇生(ECPR)では抗凝固薬により出血リスクの増加が予想される。抗凝固療法中でなければ自然止血できた可能性の高い肝損傷からの大量出血を経験したので報告する。症例は33歳女性,心肺停止状態で当院に救急搬送。ECPRの後,大量腹腔内出血のため緊急開腹手術を要した。集学的治療の末第28病日に退院。出血源は小さな肝損傷からの静脈性出血であり胸骨圧迫によるものであったことが疑われる。また,ECPRを受けた患者は胸骨圧迫を伴わないECMO治療と比べ出血性合併症が露呈するタイミングが異なる可能性もある。...

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Published in蘇生 Vol. 43; no. 2; pp. 71 - 74
Main Authors 端慶覧, 貴子, 岡田, 祥一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 26.09.2024
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ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology.43.2_71

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Summary:心肺蘇生中に胸骨圧迫により医原性外傷が合併症として起こりうるが,体外式膜型心肺(ECMO)を用いた心肺蘇生(ECPR)では抗凝固薬により出血リスクの増加が予想される。抗凝固療法中でなければ自然止血できた可能性の高い肝損傷からの大量出血を経験したので報告する。症例は33歳女性,心肺停止状態で当院に救急搬送。ECPRの後,大量腹腔内出血のため緊急開腹手術を要した。集学的治療の末第28病日に退院。出血源は小さな肝損傷からの静脈性出血であり胸骨圧迫によるものであったことが疑われる。また,ECPRを受けた患者は胸骨圧迫を伴わないECMO治療と比べ出血性合併症が露呈するタイミングが異なる可能性もある。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology.43.2_71