短期間に2度の開腹手術を要した異食症の1例

症例は17歳男性で,自閉症に伴う精神発達遅滞で,近医精神科通院中であった。発熱と腹痛を認め,近医内科を受診した。腹部単純X線検査で,腸閉塞と消化管異物を認め,当院に救急搬送された。腹膜刺激症状を認め,腹部CT検査で小腸内異物とその周囲に腹腔内遊離ガス像を認めた。イヤリングなどが紛失しており,異物による消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した。回腸末端にはカーテンの吊り具やイヤリング等多数の異物を認め,異物摘出術と小腸切除術を施行した。術後経過は良好で自宅退院となったが,再度異食による腸閉塞を発症し,術後約1ヵ月で2度目の手術を行った。異食症では,その異物の特定が重要となるが,精神科疾患を背景とした...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 8; pp. 1493 - 1496
Main Authors 川越, 勝也, 稲村, 幸雄, 石川, 啓, 濵﨑, 景子, 福岡, 秀敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.1493

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Summary:症例は17歳男性で,自閉症に伴う精神発達遅滞で,近医精神科通院中であった。発熱と腹痛を認め,近医内科を受診した。腹部単純X線検査で,腸閉塞と消化管異物を認め,当院に救急搬送された。腹膜刺激症状を認め,腹部CT検査で小腸内異物とその周囲に腹腔内遊離ガス像を認めた。イヤリングなどが紛失しており,異物による消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した。回腸末端にはカーテンの吊り具やイヤリング等多数の異物を認め,異物摘出術と小腸切除術を施行した。術後経過は良好で自宅退院となったが,再度異食による腸閉塞を発症し,術後約1ヵ月で2度目の手術を行った。異食症では,その異物の特定が重要となるが,精神科疾患を背景とした場合,本人からの問診は困難であるため,家族や施設スタッフへの詳細な問診が重要である。また,異食を予防するためには,施設スタッフ,精神科医等,多職種との連携が必要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.1493