脂肪性肝疾患の頻度に及ぼすアルコール摂取の影響

脂肪性肝疾患(FLD)の発生に及ぼすアルコール摂取の影響には不明な点が残されている.今回我々は2008年1月から12月までに腹部超音波検査を含む健康診断を受診した3185名を対象に脂肪肝の頻度に対するアルコール摂取の影響を多重ロジスティック回帰分析により解析した.内臓脂肪性肥満,空腹時高血糖,脂質異常症はいずれも脂肪肝頻度の増加と関連していた.1日アルコール摂取量20 g未満(少量飲酒群),20 g以上から40 g未満(軽度飲酒群)および40 g以上から60 g未満(中等度飲酒群)では脂肪肝のオッズ比は有意に低下した.男女別に飲酒の影響を検討したところ,男性では軽度飲酒群から中等度飲酒群におけ...

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Published in肝臓 Vol. 51; no. 9; pp. 501 - 507
Main Authors 田中, 信悟, 南, 伸弥, 土居, 忠, 蟹澤, 祐司, 田村, 文人, 平川, 昌宏, 太田, 英敏, 佐藤, 康裕, 藤見, 章仁, 小野, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2010
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.51.501

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Summary:脂肪性肝疾患(FLD)の発生に及ぼすアルコール摂取の影響には不明な点が残されている.今回我々は2008年1月から12月までに腹部超音波検査を含む健康診断を受診した3185名を対象に脂肪肝の頻度に対するアルコール摂取の影響を多重ロジスティック回帰分析により解析した.内臓脂肪性肥満,空腹時高血糖,脂質異常症はいずれも脂肪肝頻度の増加と関連していた.1日アルコール摂取量20 g未満(少量飲酒群),20 g以上から40 g未満(軽度飲酒群)および40 g以上から60 g未満(中等度飲酒群)では脂肪肝のオッズ比は有意に低下した.男女別に飲酒の影響を検討したところ,男性では軽度飲酒群から中等度飲酒群におけるFLDの調整オッズ比は非飲酒群および1日アルコール摂取量60 g以上の多量飲酒群より低かった.一方,女性ではアルコール摂取の影響は明らかでなかった.以上の結果からFLDに及ぼす飲酒の影響には性差があり,男性では軽度ないし中等度までのアルコール摂取は過栄養性FLDの発生を抑制する可能性が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.51.501