古賀論文に対するEditorial Comment
本論文は, 開腹手術後の経過の中で頻脈に伴う血行動態の悪化をきたし, その後心肺停止にいたった症例について, 剖検にて肥大型心筋症との診断がなされたという報告である. この論文の中で, 著者らは肥大型心筋症の多くが, このように生前には診断されないことが多いと思われること, 突然死をした例において, 心筋症は必ず念頭に置かなければならない疾患であり, できるだけ剖検を行うべきであること, また心筋症の症例においては, 心疾患を疑わせる症状がなくても全身状態の悪化を誘因に突然死をきたす可能性があることなどを強調している. このように肥大型心筋症は正確な診断をされずに見過ごされてしまっているケース...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 4; p. 527 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
日本心臓財団 Japan Heart Foundation |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.527 |
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Summary: | 本論文は, 開腹手術後の経過の中で頻脈に伴う血行動態の悪化をきたし, その後心肺停止にいたった症例について, 剖検にて肥大型心筋症との診断がなされたという報告である. この論文の中で, 著者らは肥大型心筋症の多くが, このように生前には診断されないことが多いと思われること, 突然死をした例において, 心筋症は必ず念頭に置かなければならない疾患であり, できるだけ剖検を行うべきであること, また心筋症の症例においては, 心疾患を疑わせる症状がなくても全身状態の悪化を誘因に突然死をきたす可能性があることなどを強調している. このように肥大型心筋症は正確な診断をされずに見過ごされてしまっているケースがあり, その正確な有病率に関しては不明であるが, 持続性心室頻拍や頻脈性の発作性心房細動を合併するものが多く, 突然死との関連が指摘されており, 本論文のような報告は貴重である. 本症例は高齢で脳梗塞の既往もあり, さらに肺炎などの合併もあって全身状態は必ずしも良いとはいえず, 病態の悪化に影響すると思われる因子は多岐にわたると考えられる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.527 |