転倒により傷害を負う患者の特徴 回復期リハビリテーション病棟における調査

【目的】本研究は,回復期リハビリテーション病棟における転倒により傷害を負った患者の特徴を調査することを目的とした。【方法】A 病院の回復期リハビリテーション病棟で転倒した161 名(転倒件数210 件)を対象とした。対象者に対し,患者情報を診療録,転倒時の状況とその対応をインシデントレポートより後方視的に調査した。分析方法は,①傷害の発生件数と診断,傷害によるリハビリテーション単位数の減少,急な検査の有無を調査すること,②対象者を転倒による傷害の有無で群別し,疾患別分類,年齢,性別,複数回転倒の有無,入院時FIM を統計処理にて比較すること,③入棟からの経過日,発生場所,転倒時動作の違いによる...

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Published in日本転倒予防学会誌 Vol. 3; no. 1; pp. 19 - 24
Main Authors 迫, 力太郎, 渡部, 喬之, 鈴木, 久義, 長島, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本転倒予防学会 10.06.2016
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ISSN2188-5702
2188-5710
DOI10.11335/tentouyobou.3.1_19

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Summary:【目的】本研究は,回復期リハビリテーション病棟における転倒により傷害を負った患者の特徴を調査することを目的とした。【方法】A 病院の回復期リハビリテーション病棟で転倒した161 名(転倒件数210 件)を対象とした。対象者に対し,患者情報を診療録,転倒時の状況とその対応をインシデントレポートより後方視的に調査した。分析方法は,①傷害の発生件数と診断,傷害によるリハビリテーション単位数の減少,急な検査の有無を調査すること,②対象者を転倒による傷害の有無で群別し,疾患別分類,年齢,性別,複数回転倒の有無,入院時FIM を統計処理にて比較すること,③入棟からの経過日,発生場所,転倒時動作の違いによる傷害発生率(傷害発生件数/転倒発生件数× 100)を,転倒発生状況から分析することとした。【結果】傷害を負った事例の13 件(33.3%)に予定外の検査が必要であり,また8 件(20.5%)にリハビリテーション単位数の減少を認めた。転倒により傷害を負った者(以下;傷害あり群)は38 名,負わなかった者(以下;傷害群)は123 名であった。年齢は傷害あり群の方が若い傾向にあり(p = 0.007),また入院時FIM 運動項目合計点は傷害あり群の方が高い傾向にあった(p = 0.032)。転倒件数は,入棟からの経過に伴い減少していく傾向にあるのに対し,傷害発生率は増加する傾向にあった。発生場所による違いでは,自宅(外泊時)が最も高く,転倒発生時の動作による比較では,歩行時の転倒で傷害を負いやすい傾向にあった。【結論】転倒により傷害を負った者は年齢が若く,入院時のFIM 運動項目は高い傾向にあった。また,傷害発生率は入棟からの経過に伴い高まる傾向にあり,転倒場所は自宅,動作は歩行時に高かった。
ISSN:2188-5702
2188-5710
DOI:10.11335/tentouyobou.3.1_19