光学計測を用いた心室内膜における通電刺激現象の解析

不整脈の治療機器としてAEDやICDなどの除細動器があるが,現状の機器は通電電圧が高く催細動の可能性が捨てきれないなどの課題があり,より低エネルギー通電で確実な除細動が可能な除細動器が求められている.心筋組織への通電刺激によって通電を印加している間,電極から近傍数ミリの範囲内に脱分極と過分極領域が混在する,仮想電極分極現象(Virtual Electrode Polarization:VEP)が形成され,本現象が除細動の成否に大きく関与することが知られている.しかし従来のVEP解析研究では心外膜側での計測が主であり,心内膜側での計測の報告はほとんどない.本研究では光学計測を用いて,摘出心標本に...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. 55Annual; no. 4AM-Abstract; p. 294
Main Authors 山崎, 正俊, 富井, 直輝, 門馬, むつ美, 柴田, 仁太郎, 谷田部, 純弥, 荒船, 龍彦, 本荘, 晴朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2017
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.55Annual.294

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Summary:不整脈の治療機器としてAEDやICDなどの除細動器があるが,現状の機器は通電電圧が高く催細動の可能性が捨てきれないなどの課題があり,より低エネルギー通電で確実な除細動が可能な除細動器が求められている.心筋組織への通電刺激によって通電を印加している間,電極から近傍数ミリの範囲内に脱分極と過分極領域が混在する,仮想電極分極現象(Virtual Electrode Polarization:VEP)が形成され,本現象が除細動の成否に大きく関与することが知られている.しかし従来のVEP解析研究では心外膜側での計測が主であり,心内膜側での計測の報告はほとんどない.本研究では光学計測を用いて,摘出心標本における心室内膜の心筋への点通電刺激時のVEPを解析し,心室内膜の通電刺激効果機序を解明することを目的とする.実験では,ウサギ摘出心よりランゲンドルフ灌流標本を作成したのち,膜電位感受性色素di-4-ANEPPSで染色して心室を切り開いた.刺激印加用の微小電極を心内膜表面に設置し,灌流液で満たしたTissue Bathに設置後,通電刺激による興奮伝播様態を計測した.心室内膜側で形成される点刺激誘発VEPは心外膜VEPと比較して,形状に対称性がなく,刺激の場所ごとに異なる複雑なパターンを形成した.その理由として心室内膜は外膜側と比べ解剖学的に複雑なひだ状の構造をしており,通電による電場形成が複雑になることが示唆された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.55Annual.294