胆管ステント逸脱による盲腸穿孔の1例

中等症以上の急性胆管炎では速やかな胆道ドレナージが推奨されている。内視鏡的ドレナージ法である胆管ステンティングは低侵襲であるが,まれに逸脱し腸管穿孔を引き起こすことがある。今回,急性胆管炎に対し留置したステントが逸脱し,約4ヵ月後に盲腸穿孔をきたした1例を経験したので報告する。症例は90歳代女性。総胆管結石による急性胆管炎に対し胆管ステンティングを行った。自覚症状が改善し退院となったが4ヵ月後に急性胆管炎を再発した。腹部単純CT検査でステントが小腸に逸脱しており,再度胆管ステンティングを行った。一旦症状改善したが,16日後に腹痛を認めた。腹部単純CT検査上,逸脱ステントが盲腸壁を貫通していたた...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 5; pp. 999 - 1003
Main Authors 植田, 康司, 西村, 公志, 田上, 修司, 河村, 史朗, 豊田, 甲子男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.999

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Summary:中等症以上の急性胆管炎では速やかな胆道ドレナージが推奨されている。内視鏡的ドレナージ法である胆管ステンティングは低侵襲であるが,まれに逸脱し腸管穿孔を引き起こすことがある。今回,急性胆管炎に対し留置したステントが逸脱し,約4ヵ月後に盲腸穿孔をきたした1例を経験したので報告する。症例は90歳代女性。総胆管結石による急性胆管炎に対し胆管ステンティングを行った。自覚症状が改善し退院となったが4ヵ月後に急性胆管炎を再発した。腹部単純CT検査でステントが小腸に逸脱しており,再度胆管ステンティングを行った。一旦症状改善したが,16日後に腹痛を認めた。腹部単純CT検査上,逸脱ステントが盲腸壁を貫通していたため逸脱ステントによる盲腸穿孔と診断し手術を行った。術中所見ではステントが盲腸壁を貫通し腸管外に一部脱出し,周囲には膿性腹水を認めた。盲腸部分切除術と腹腔内ドレナージ術を行い手術を終了した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.999