酷暑の野外作業の後に生じた特発性上腸間膜静脈血栓症の1例
特発性上腸間膜静脈血栓症は,特異的症状に乏しく,軽症例から腸管壊死をきたす重症例まで多岐にわたり,場合によっては緊急手術を要する,まれな疾患である。症例は65歳,男性。狭心症,高血圧症,糖尿病で当院通院中の患者。狭心症で,サルポグレラート塩酸塩を内服している。腹痛を主訴に受診し,超音波検査で腹水を認め,造影CT検査にて上腸間膜静脈~門脈に血栓を,また一部小腸に虚血所見を認め,緊急開腹術が施行された。虚血小腸を部分切除し,上腸間膜静脈~門脈血栓の除去を行い,術中に留置した上腸間膜静脈カテーテルより術後抗凝固療法を行うことで改善した。本症例は,血液凝固異常をきたす原因疾患を認めず,また抗血小板薬を...
Saved in:
Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 6; pp. 749 - 754 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.35.749 |
Cover
Summary: | 特発性上腸間膜静脈血栓症は,特異的症状に乏しく,軽症例から腸管壊死をきたす重症例まで多岐にわたり,場合によっては緊急手術を要する,まれな疾患である。症例は65歳,男性。狭心症,高血圧症,糖尿病で当院通院中の患者。狭心症で,サルポグレラート塩酸塩を内服している。腹痛を主訴に受診し,超音波検査で腹水を認め,造影CT検査にて上腸間膜静脈~門脈に血栓を,また一部小腸に虚血所見を認め,緊急開腹術が施行された。虚血小腸を部分切除し,上腸間膜静脈~門脈血栓の除去を行い,術中に留置した上腸間膜静脈カテーテルより術後抗凝固療法を行うことで改善した。本症例は,血液凝固異常をきたす原因疾患を認めず,また抗血小板薬を内服していたにもかかわらず発症した。本邦報告例の集計とともに,若干の文献的考察を加えて報告する。 |
---|---|
ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.35.749 |