腹腔鏡手術を行った子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

症例は44歳女性。嘔吐と下腹部痛を主訴に当院受診した。初診時,腹部造影CTで骨盤内に拡張した小腸と右側に偏位した子宮を認めた。イレウス管による減圧を図ったが症状の改善を認めなかった。イレウス管造影後に腹部単純CTを施行したところ,子宮左側の小腸に狭窄を認め,左子宮広間膜裂孔ヘルニアと診断し腹腔鏡下に手術施行した。左子宮広間膜に生じた約3cm大の裂孔に,回腸末端より約120cmの回腸が約10cmにわたり陥入していた。嵌入腸管の血流および漿膜面の色調は良好で切除の必要性はなく,左子宮広間膜裂孔を吸収糸で縫合閉鎖した。術後経過良好で術後5日目に退院となった。今回,比較的まれな子宮広間膜裂孔ヘルニアの...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 3; pp. 493 - 496
Main Authors 佐藤, 篤, 大塚, 耕司, 加藤, 博久, 新谷, 隆, 小池, 礼子, 長谷川, 智行, 広本, 昌裕, 村上, 雅彦, 青木, 武士, 渡辺, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.493

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Summary:症例は44歳女性。嘔吐と下腹部痛を主訴に当院受診した。初診時,腹部造影CTで骨盤内に拡張した小腸と右側に偏位した子宮を認めた。イレウス管による減圧を図ったが症状の改善を認めなかった。イレウス管造影後に腹部単純CTを施行したところ,子宮左側の小腸に狭窄を認め,左子宮広間膜裂孔ヘルニアと診断し腹腔鏡下に手術施行した。左子宮広間膜に生じた約3cm大の裂孔に,回腸末端より約120cmの回腸が約10cmにわたり陥入していた。嵌入腸管の血流および漿膜面の色調は良好で切除の必要性はなく,左子宮広間膜裂孔を吸収糸で縫合閉鎖した。術後経過良好で術後5日目に退院となった。今回,比較的まれな子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例を経験した。腸管減圧後の腹腔鏡手術は低侵襲で有用であると考えられた。若干の文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.493