多発小腸潰瘍穿孔をきたしたコレステロール結晶塞栓症の1例
症例は87歳女性。3ヵ月前に心不全および慢性腎不全増悪で当院入院となった。冠動脈に有意狭窄を認めたため,経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)を施行し抗凝固療法が開始された。また慢性腎不全に対しては維持透析を導入した。2週間前に軽快退院したが,2日前からの腹痛を主訴に当院に救急搬送された。腹部CT検査で腹腔内遊離ガスと腹水を認めたため,消化管穿孔疑いで緊急手術を施行した。小腸に多発潰瘍,穿孔を認め,小腸部分切除を施行した。術後4日目に病理組織学的検査でコレステロール結晶塞栓症(cholesterol crystal embolizat...
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| Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 3; pp. 497 - 501 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本腹部救急医学会
2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
| DOI | 10.11231/jaem.37.497 |
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| Summary: | 症例は87歳女性。3ヵ月前に心不全および慢性腎不全増悪で当院入院となった。冠動脈に有意狭窄を認めたため,経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)を施行し抗凝固療法が開始された。また慢性腎不全に対しては維持透析を導入した。2週間前に軽快退院したが,2日前からの腹痛を主訴に当院に救急搬送された。腹部CT検査で腹腔内遊離ガスと腹水を認めたため,消化管穿孔疑いで緊急手術を施行した。小腸に多発潰瘍,穿孔を認め,小腸部分切除を施行した。術後4日目に病理組織学的検査でコレステロール結晶塞栓症(cholesterol crystal embolization:以下,CCE)による小腸潰瘍穿孔と診断し,術後5日目にlow density lipoprotein(LDL)アフェレーシスとステロイドパルス療法を開始したが,消化管再穿孔をきたし,術後16日目に死亡した。CCEによる小腸穿孔はまれであるが予後が悪く,若干の文献的考察を加え報告する。 |
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| ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
| DOI: | 10.11231/jaem.37.497 |