CTで術前に診断しえた子宮広間膜ヘルニアの5例

内ヘルニアは腸閉塞の原因の約10%を占めるといわれており,そのうち子宮広間膜ヘルニアの頻度は低く,まれな疾患である。特異的な臨床所見に乏しく,術前に確定診断をつけるのは困難といわれていたが,近年の画像診断の進歩に伴い,術前診断しえた症例の報告が増加している。当院では,2010年から2016年の間にCTで術前診断しえた子宮広間膜ヘルニアを5例経験した。全例腹痛を主訴に来院し,精査のCTで拡張した小腸ループをDouglas窩に認め,それに子宮が圧排され偏位していた。拡張した腸管壁は造影効果を認め,腸管壊死の可能性は低いと判断した。子宮広間膜ヘルニアの診断で手術が施行され,そのうち3例は腹腔鏡で完遂...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 4; pp. 607 - 610
Main Authors 知念, 順樹, 長濱, 正吉, 宮里, 浩, 髙宮城, 陽栄, 上江洌, 一平, 又吉, 隆, 友利, 寛文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.607

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Summary:内ヘルニアは腸閉塞の原因の約10%を占めるといわれており,そのうち子宮広間膜ヘルニアの頻度は低く,まれな疾患である。特異的な臨床所見に乏しく,術前に確定診断をつけるのは困難といわれていたが,近年の画像診断の進歩に伴い,術前診断しえた症例の報告が増加している。当院では,2010年から2016年の間にCTで術前診断しえた子宮広間膜ヘルニアを5例経験した。全例腹痛を主訴に来院し,精査のCTで拡張した小腸ループをDouglas窩に認め,それに子宮が圧排され偏位していた。拡張した腸管壁は造影効果を認め,腸管壊死の可能性は低いと判断した。子宮広間膜ヘルニアの診断で手術が施行され,そのうち3例は腹腔鏡で完遂した。腸管壊死はなく全例腸管を温存できた。術後経過は良好で,子宮広間膜ヘルニアの診断にはCTが有用であること,また,腹腔鏡手術が治療選択肢の1つとなりうることが考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.607