空腸に嵌頓し緊急手術を施行した十二指腸有茎性ブルンネル腺腫の1例

症例は57歳の女性,心窩部痛と黒色便を主訴に救急搬送された。4年前まで十二指腸球部前壁のブルンネル腺腫を内視鏡検査で経過観察されていたが,その後通院を中断していた。腹部CT,上部消化管内視鏡検査で十二指腸腫瘍による消化管出血・空腸への逸脱と診断した。入院12時間後,強い腹痛と嘔吐が出現し,緊急内視鏡を施行したところ,腫瘍が空腸側へ嵌頓している所見を認めた。内視鏡的な整復が不可能であり,嵌頓の増悪による,腸管の虚血,穿孔,また出血の増悪による貧血の進行を懸念し,緊急手術の方針とした。術中所見では十二指腸球部前壁に基部をもつ有茎性腫瘍を認め,腫瘍はTreitz靭帯まで先進し嵌頓しており,十二指腸部...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 1; pp. 125 - 127
Main Authors 村井, 俊文, 篠塚, 高宏, 宇田, 裕聡, 野嵜, 悠太郎, 永田, 二郎, 阪井, 満
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.125

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Summary:症例は57歳の女性,心窩部痛と黒色便を主訴に救急搬送された。4年前まで十二指腸球部前壁のブルンネル腺腫を内視鏡検査で経過観察されていたが,その後通院を中断していた。腹部CT,上部消化管内視鏡検査で十二指腸腫瘍による消化管出血・空腸への逸脱と診断した。入院12時間後,強い腹痛と嘔吐が出現し,緊急内視鏡を施行したところ,腫瘍が空腸側へ嵌頓している所見を認めた。内視鏡的な整復が不可能であり,嵌頓の増悪による,腸管の虚血,穿孔,また出血の増悪による貧血の進行を懸念し,緊急手術の方針とした。術中所見では十二指腸球部前壁に基部をもつ有茎性腫瘍を認め,腫瘍はTreitz靭帯まで先進し嵌頓しており,十二指腸部分切除術を施行した。病理組織学的検査ではブルンネル腺腫瘍と診断された。空腸への嵌頓をきたし,緊急手術を施行した十二指腸ブルンネル腺腫瘍の比較的まれな1例を経験したため報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.125